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miletに恋する「知らないカノジョ」 初演技の舞台裏は【山崎あみ コラム音楽の森】

 初めての演技だなんて誰も信じないでしょ!というぐらい惹(ひ)きつけられ、本業の歌唱シーンではぷるぷると心震わされ・・・。映画『知らないカノジョ』(公開中)を見て私は、ヒロインを務めたシンガー・ソングライターのmilet(ミレイ)さんに〝ガチ恋〟しました。

(C)2025『知らないカノジョ』製作委員会

 ラブストーリーの達人・三木孝浩監督による美しい映像で紡がれるのは、大学時代、互いに一目惚(ぼ)れで結婚したリク(中島健人さん)とミナミ(miletさん)の物語。結婚から8年、小説家志望だったリクは、歌手になる夢を諦めたミナミのサポートのおかげもあり、ベストセラー作家になっています。ある晩、忙しさからミナミに冷たく当たってしまい、けんか。翌朝リクが目を覚ますと、ミナミはいない。出版社に顔を出すと、誰とも話がかみ合わない。なんとリクは文芸誌の編集部員で、街にあふれているのはトップアーティスト前園ミナミの姿と曲。この世界では、ミナミはリクと出会ってもいない、どころか別の恋人がいる・・・。

 miletさんはとても自然に大学生(かわいい!)、主婦、スターを演じています。今作のために約1年間、演技のレッスンを受けて準備したそうです。

 どこかミステリアスな彼女をもっと知りたい。マネジャーさんに裏話をいろいろ伺うと、映画初挑戦とはいえ空き時間、miletさんは一人で映画を見に行くほどリラックス。それができたのは、現場の皆さんが、役に入り込みやすいスケジュールを組んでくれたり、気軽に話しかけてくれたりと、常に空気感を整えてくれていたから。クランクイン前には三木監督と中島さんらとの食事会も開かれ、一気に打ち解けられたそうです。今作のポスターに使われた写真も、2人の素が出ているようでステキ。映画撮影の空き時間などに撮っていて、ふとした瞬間を捉えた1枚だそうです。

 一方で、miletさんは初めての演技で「周りに迷惑をかけられない」との強い思いから、せりふを完璧に頭に叩(たた)き込んで臨んでいました。以前から勉強熱心でストイック。昨年のアジアツアーでは各国の言葉をMCで披露するため、中国語や韓国語を話せるバンドメンバーらと積極的に現地の言葉で話すなど、一度やると決めたことに打ち込む姿勢は、マネジャーさんから見てもかっこよく、リスペクト。しかも料理上手で、ファンクラブ企画でも手料理を振る舞い、大好評だったそうです。

 「知らないカノジョ」を貫く大切な軸はmiletさんの歌。主題歌/劇中歌「I still/Nobody Knows」(CD発売中)を書き下ろしました。主題歌を歌う場面の撮影現場・・・、スタッフが何人も涙を流していたそうです。

(C)2025『知らないカノジョ』製作委員会

【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 12からの転載】

山崎あみ(やまざき・あみ)/ 1997年生まれ、東京都出身。音楽大卒。モデル。
interfm(東京)「MUSIClock+」(金曜午前7時)およびJFN制作FM番組「みゅ~じっくろっく」DJ。YouTube番組「山崎あみ『うるおう』リコメンド」(略称うるりこ。共同通信社制作)出演。