元来はイベント好きではないのですが、娘が生まれてからは、やれお食(く)い初(ぞ)めだの、初節句だの、クリスマスだのという行事の数々に熱心ではないものの、避けて通れないと腹をくくり、携わっています。そして、以前も書かせていただいたように、どうせなら、なるべく長くいろいろなものを飾りたいと、常に先取りを意識しています。なので、節分終えたらお雛(ひな)様、ハロウィーン終えたらクリスマスツリーと、クオリティーではなく、早さだけはトップレベルだと自負しています。どちらかというと、面倒くさがりなので、間を置くとむしろやらなくなるだろうという自分への理解が、私を「先取り女」にさせています。年を重ねることのいい点は、自分への理解が深まり、対策も速やかにできるところなのかもしれません。
そして、今年に至っては6月になる前に、七夕の準備をしました。毎年、七夕の準備はつい忘れがちで、後手後手になってしまうので、かなり前もって動いてみました。
ただ準備といっても、お友達が遊びに来たタイミングで、短冊を書いてもらったり、みんなで輪飾りを作るといったくらいのことです。でも、ここまでしておけば、お花屋さんかスーパーに笹が並ぶタイミングで、笹を購入してくれば、余裕を持って七夕を迎えられます。もしも笹を購入できなければ、観葉植物に飾ればいいので、もはや9割の準備が終わったようなものです。すっかり満足しながら、娘たちが作ってくれた飾りと短冊を手に取ったら、そこに驚きの願い事が書かれていました。
例年、短冊には「〇〇が欲しい」という己の欲望のみを書いていた娘だったのですが、今年は、お隣さんの一つ上のお姉さんが「2030年までにSDGsのもくひょうを たっせいできますように」と書いているのを見たからなのか、突然「ちきゅうがへいわでいられますように。人はころされずに、しあわせに生きていきますように」と書いていました。もう一つの短冊には「けがをしないで たいそうをつづけられますように」とも書いてあり、なんだかホッともしたのですが、ともかく、大きく成長を感じられた短冊の願い事に、こういうイベントも悪くないなぁと思ったのでした。
6月は東京都議選、7月は国政選挙がありますね。どうか、子どもたちの美しい願いが、叶(かな)う世の中になりますように。
【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 23からの転載】
ひらい・りお 1982年東京生まれ。2005年、慶應義塾大学法学部卒業後、フジテレビ入社。スポーツニュース番組「すぽると!」のキャスターを務め、オリンピックをはじめ国際大会の現地中継などに携わる。13年フリーに転身。ニュースキャスター、スポーツジャーナリスト、女優、ラジオパーソナリティー、司会者、エッセイスト、フォトグラファーとして活動中。