伝統工芸に触れる機会が少なくなった現代だが、先人の知恵と美意識が凝縮されている品々には“日用品”も多い。東京都は、1月15~20日まで、新宿高島屋11階催会場で「第68回東京都伝統工芸品展」を開催する。東京都の伝統工芸品39点が一堂に会し、展示即売を実施する。江戸町人文化と伝統工芸の魅力を五感で体験できる機会だ。
今回のテーマは「鱗(うろこ)」。日本の伝統的な文様の一つで、魔よけや厄よけの意味も持ち、邪悪なものを跳ね返す力があると信じられていたのだそうだ。また蛇のうろこを連想させるため、脱皮による「成長や繁栄」の象徴ともされており、2025年のえとである「巳年」にふさわしいデザインテーマでもある。うろこ文様は江戸時代に武士や庶民の間で広まり、着物や帯、家屋の装飾などで使用され、特に歌舞伎役者の衣装や浮世絵にもひんぱんに登場している。
職人のリアルな技術を目の当たりにできる実演ステージでは、毎日日替わりで職人が技を披露。精密な手仕事や製作プロセスを見て学んだり、職人に質問したりできるのはイベント会場ならではの体験。さらに製作体験コーナーも設置。製作体験ができる工芸品は箸置きやバッグなど日常的に使えるものばかりだから、伝統工芸品が身近に感じられるようになりそうだ。入場無料。製作体験は有料、Peatixサイトで事前予約可。