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ミュージカル初挑戦の橘ケンチ、未来に向けて挑戦の一歩を踏み出す年に【インタビュー】

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 EXILEのパフォーマーとして活動をするかたわら、舞台やドラマなどで役者としても着実にキャリアを重ねている橘ケンチ。その彼が初挑戦するミュージカルが、2023年1月に上演される「チェーザレ 破壊の創造者」だ。15世紀のイタリアを舞台に、欧州統一の野望を抱いたボルジア家のチェーザレを描いた同名の大ヒットコミックスを原作とした明治座初のオーケストラピットを稼働させた本格ミュージカル。20年の開幕間近に、コロナ禍で公演中止となってしまった本作が、ついに上演となる。ミュージカル界のトップスター中川晃教が演じる主人公チェーザレに、生涯忠誠を誓う腹心のミゲル役の橘に、出演への意気込みなどを聞いた。

橘ケンチ(ヘアメーク:宮内宏明(M’s factory)/スタイリスト:中瀬 拓外) (C)エンタメOVO

-本作へ出演することについての意気込みは?

 (公演中止時は)稽古までやって幕が開かなかったというのは、信じられないぐらいつらいだろうなと思っていました。スタッフや、前回から引き継ぎのキャストの方から悔しい思いも聞きました。ただ、それよりも上演できるという喜びを大きく感じています。その方々と一緒に、新たな「チェーザレ」を築き上げて、前回の悔しさを全て払拭するぐらいのものを作り上げたいです。それから、明治座に立たせてもらうのは初めてで、いつかは立ちたい場所だったので、このタイミングで呼んでいただけることを光栄に思っています。

-今回の制作発表は、大井競馬場で行われましたが、印象に残っていることは?

 中川さんが芦毛の馬に乗って登場したのですが、その姿が想像以上に似合っていました(笑)。会見の前に、中川さんが乗馬の練習をされていましたが、まるでチェーザレが練習しているようで、ミゲルの気分になって見守っていました(笑)。

-ミュージカル初挑戦となりますが、どのような気持ちですか。

 ミュージカルは見るのも大好きですし、ブロードウェーやウエストエンドにも見に行ったこともあります。いつか自分もミュージカルをやってみたいという気持ちはありました。なので、このお話を頂いたときは、勇気を振り絞って「やらせていただきます」とお伝えいたしました。プレッシャーはもちろんあります。制作の方には、最初に「ミュージカルは初めてですよ」と何回も言ったんですけど(笑)、それでもオファーがあったので、引き受けさせていただきました。こんなに自分に期待してくれているんだと思うと、頑張ってステージに立って、責任は果たしたいという気持ちが強いです。

-EXILEのメンバーの、出演についての反応は?

 TETSUYAから「ミュージカル? マジで!?」とめちゃくちゃ驚かれて、しかも主演が中川さんだと教えたら、さらに驚いていました(笑)。TETSUYAは、中川さんが大好きで、中川さんが出演したミュージカルも見ていて、歌のうまさもすごく知っているので、「中川さんとずっと横にいて、一緒に歌うの!?」となっていました(笑)。

-その中川さんの歌を稽古で聞いていかがでしたか。

 本当に想像以上にすごかったです。本読みのときに、中川さんの隣だったんですけど、軽く歌っていてもめちゃくちゃうまくて、ミュージカルのトップスターってこういうことなんだろうなと思いました。

-ミゲルという人物をどのように捉えていますか。

 ミゲルはユダヤの孤児という逆境の中にいたんですけど、その逆境を力に変えて、人間的に強く成長しているなというイメージがあります。チェーザレを支えながら、明るくスペイン団を盛り上げて、誰からも頼られるリーダーというのが表のイメージですが、1人になったときは、チェーザレのためだったら命も捨てられるし、人も殺すこともできるという冷酷な面もあるだろうし、きっと闇も抱えているだろうと思うんです。そういうものが集団の中にいるミゲルと、個人になったときのミゲルとで差が浮き彫りになって、人間的に深みがある演じ方ができればと考えています。

-明治座創業以来初となるオーケストラピットの稼働なども話題となっていますが、どんなミュージカルになると思いますか。

 日本原作のオリジナル・ミュージカルに生のオーケストラと盛りだくさんなので、日本にこんなミュージカルがあるんだという感じのものになるんじゃないでしょうか。中川さんがおっしゃっていたのですが、舞台がイタリアであるにも関わらず、音楽の中にどこか和の要素を感じるんです。作曲・音楽監督の島健さんの音楽の中に、どこか日本人の精神みたいなものを感じていて、それは一つのキーワードだと思っています。そこに日本人として表現するときの着地点をどこに持っていくかは、これから考える必要があるのかなと考えています。