数々のアイドルを送り出してきた関西ジャニーズJr.からまた一人、期待の新星が現れた。オーディションを経ての映画初出演で、『雑魚どもよ、大志を抱け!』(3月24日公開)の主人公・高崎瞬役に抜てきされた池川侑希弥だ。1980年代の地方の町を舞台に、さまざまな悩みを抱えながらも、気の合う仲間たちと過ごす小学生の日常を生き生きと描いた成長物語で、はつらつとした演技を披露。その存在を鮮烈に印象付ける。普段は関西ジャニーズJr.内のユニット“Boys be”のメンバーとしても活躍し、本作でそのフィールドをさらに広げた池川が、初主演の舞台裏を語ってくれた。
-映画初出演とは思えない池川さんの芝居が主人公の瞬にぴったりで、すがすがしい気持ちになるすてきな作品でした。オーディションを経て初主演が決まったときの気持ちはいかがでしたか。
決まったときは、すごくうれしかったです。ただ、僕はお芝居の経験が少ないので、後から「僕が主演でいいのかな…」と心配になってきました。でも、「決まった以上は、しっかりやらなきゃ」と気を引き締めました。
-瞬の友人を演じる共演者の中には、同世代で演技経験豊富な人もいますが、初対面の印象は?
最初はすごく緊張しました。初めてみんなと会ったとき、1、2時間ぐらいいろんな話をしたんですけど、その中で「お芝居何年目?」みたいな話になったんです。そのとき、僕はまだ2、3年目だったので、みんなの話を聞いて、本当にすごい方たちが集まっているんだなと思って。田代(輝/瞬の親友・村瀬隆造役)くんなんて、芸歴14年で、生まれたときからやっているような感じでしたし。ただ、撮影の2カ月ぐらい前から週1回集まって台本の読み合わせをしたので、みんなとすぐに仲良くなることができました。おかげで、役の上での隆造たちとの関係も作っていきやすかったです。
-合宿形式で行われた撮影中には、田代さんと2人で演技の練習をしたそうですね。
隆造とのクライマックスのシーンについて、監督さんから「練習しておいてね。ただし、練習し過ぎると、自然な感じが出せないから」と言われていたんです。だから、みんなの邪魔にならないように宿舎で、やり過ぎない程度に田代くんと練習しました。
-そのかいあって、お二人が演じるクライマックスにはグッと心をつかまれました。ところで、本作は脚本家、映画監督として『百円の恋』(14)、『喜劇 愛妻物語』(19)などを手掛けてきた足立紳監督が、20年がかりで映画化を実現した入魂の作品です。物語には足立監督の子ども時代の記憶が色濃く投影されているようですが、この作品に懸ける思いをどんなふうに受け止めましたか。
撮影が休みのとき、監督さんやプロデューサーさんが、共演者のみんなと一緒に焼き肉に連れて行ってくれたことがあったんです。そこで「昔は本当にこんな感じだったんだ」と、監督さんの子ども時代の話をしてくれました。映画の中では、僕が想像する以上に大胆ないたずらをする場面があったので、「昔はこんなことをやっても許されていたんだ!?」と驚きました。ただ、瞬は周りと比べてそれほどいたずらをするタイプではないので、演じる上では、いたずらをする隆造たちを引っ張っていく形にならないように気を付けました。
-いろいろないたずらの中でも、学校の池で飼っていたオオサンショウウオを捕まえるシーンは、楽しそうで印象的でした。
あれは、すごく楽しかったです。撮影はかなり時間がかかったんですけど、オオサンショウウオの模型がすごくリアルだったので、カメラが回っていないときも、田代くんたちと「めっちゃ楽しい!」みたいな感じで盛り上がっていました(笑)。
-池川さんが生まれる前の昭和の時代を舞台にした物語ですが、演じてみて昭和らしさを感じた部分は?
昭和の頃は、今と比べていろんな意味で規制が緩いですよね。そこはちょっとうらやましかったです。でも逆に、今はきちんと規制されている分、問題になることが減ったので、その点は今の方がいいなと思います。携帯電話がないところも、昭和らしさを感じました。今は携帯電話が当たり前になったので、友だちとのコミュニケーションがずっと取りやすくなってよかったです。ただ、子どもの気持ちは昭和も今も変わらないと思ったので、瞬には共感できましたし、役としても入っていきやすかったです。