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山口祐一郎、新作舞台で共演者たちと作り上げる“家族モドキ”な関係【インタビュー】

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-本作は、“現代における家族の形”を描いている作品ですが、脚本を読んでどんなことを感じましたか。

 このコロナ禍では、家族の元に帰りたくても帰れなかった人が本当にたくさんいたと思います。さらに最近では主権国家同士が争うということも世界では起こっていて、どうなってしまうんだろうという不安感が強くなっていました。そんな中でやはり“家族”の大切さは浮き彫りになったと思います。今、やっと特別な規制もなくなり、離れて暮らす家族とも会えるようになりました。まさに今の時期にぴったりな作品ですよね。(脚本の)田渕さんが天才なのは知っていましたが、この作品を読ませていただき、タイトルを見てなるほどなと。面白いタイトルをつけると改めて思いました。

-山口さんにとっての家族とはどういった存在ですか。

 日本には、家族とはこういうものだという“家制度”というものがあって、それが半ば強制的に続いてきたのに、70年前に突然、変わりました。“家族”ではなく“個人”になったんです。それはシステムとして強制的に変わったものだったので、人の心と結びついて体感できる家族ではなくなっていたと思います。それでも、理想の家族というものは新たに作られて、父親、母親、子どもという形を社会で保護し、なおかつ、そうした形がもっとも効果的であり理想的だと考えるようになったわけです。ところが、僕がスタートした66年前、僕の場合は全くそれと違う形になってしまいました。僕の家族は、ファイブダディズ、ファイブマミーズなんですよ。(5人の父親と5人の母親がいる)なので、最初から社会通念上の理想形である家族とは全くかけ離れた“家族モドキ”だったんです。そうした“家族モドキ”のなかで生活してきたので、理想的な家族というものは自分の若い頃にはないものでした。こんな話をするとみんなジョークだと思うみたいですが、僕にとっての家族とはファイブダディズ、ファイブマミーズなんです。

-改めて、本作の見どころを教えてください。

 コロナ禍、それぞれのフィールドで抱えていたものを吹き飛ばすような、魅力的でチャーミングで楽しい、そして皆さんとほっこり暖かくなれる作品です。ぜひ劇場にいらしていただいて、皆さん元気になってください。

(取材・文・写真/嶋田真己)

「家族モドキ」

 「家族モドキ」は、7月26日〜8月13日に都内・シアタークリエほか、大阪、愛知で上演。