-ところで本作は、山本監督を含め、木竜さんと同世代の若い人たちが中心になって製作していますね。
おっしゃる通り、普段はベテランの監督やスタッフ、先輩の俳優の方々とご一緒する現場が多いのですが、今回はスタッフや俳優を含め、私と同世代かそれよりも若い人たちが集まっていました。おかげで、みんな仲良くなりすぎなくらい、仲良くなってしまって(笑)。撮影が休みの日には、ペンションの方が作ってくださった食事を、みんなで集まって食べたりしていました。その一方で、それぞれが仕事に集中したいときには適度に距離をとるなど、ただ仲良しなだけではない、すごくいいチームで。先ほどお話しした教会のシーンを始め、精神的、肉体的に大変な撮影もあったのですが、それを乗り越えられたのは、このチームのおかげです。
-若い人が多い現場では、木竜さんもややお姉さん的な立場になると思いますが、自分の立ち位置に対する意識が今までと変わったようなことはありますか。
確かにここ1、2年、年下の役者の方から、「あの作品どうだったんですか?」と聞かれる機会が増えてきました。まだまだ他人にアドバイスできるような立場ではありませんが、これまでの自分の経験を伝えることで、先輩方と一緒にものを作り上げていく「大人の自由工作」のような映画の現場の楽しさを知ってもらえたら、と思っています。同時に、「人は鏡」なので、相手に楽しんでもらうには、自分が率先して現場を楽しまなければいけないなと。そうやってお互いに楽しむことで、映画の現場がより楽しくなっていったらいいですね。
-2018年に『菊とギロチン』『鈴木家の嘘』で多数の映画賞を受賞し、昨年は『Winny』『福田村事件』で活躍するなど、着実に歩んできた木竜さんにとって、デビュー10年の節目に公開される本作も、新たな一歩を記す作品になりそうですね。それでは最後に、今年の目標などありましたらお聞かせください。
「もう10年!?」と驚くばかりですが、それくらい夢中になってやってこられたんだなと。その時々でいろんな悩みはありましたが、いろんな人に出会い、それによっていろんな自分にも出会いながら、楽しんでこの仕事を続けてこられた自分は、すごくラッキーでした。10年の節目と同時に30代を迎える今年は、作品や役柄の幅を広げるだけでなく、いろんな経験を積み、1人の人間としても成長していきたいと思っています。
(取材・文・写真/井上健一)
2月2日(金)、新宿武蔵野館、渋谷シネクイントほか全国ロードショー!