-直明の姉・寅子役の伊藤沙莉さんの印象は?
気さくで親しみやすいすてきな方です。伊藤さんのお兄さん(お笑いコンビ”オズワルド“の伊藤俊介)が僕たちのグループ(BE:FIRST)を応援してくださっている話や、沙莉さんのファンの僕の母が舞台を見に行った話などで、初日から盛り上がりました。プライベートな話も気軽に聞いてくださいますし、とても優しいお姉さんです。もちろん、素晴らしい俳優なのは、言うまでもありません。驚いたのは、直前まで前室(撮影時の待機場所)で笑いながら話をしていても、本番になった途端、号泣するお芝居をされるんです。物語の前後の状況がないまま、いきなり泣く場面から始まっても見事なお芝居をされるその姿に、いつも圧倒されています。
-猪爪家の子どもたちを演じる子役と一緒の場面も多いと思いますが、現場でのエピソードなどありますか。
花江(森田望智)さんの息子の直人と直治(を演じる子役)の2人に毎回、「直明兄ちゃん、食堂に行こう」と誘われるのですが、3人とも坊主頭で身長差もあるので、並んで食事している姿をはたから見ると、ちょうど携帯電話の受信状態を示すアンテナマークのようになるんです。しかも、気が付くと全員同じカレーを食べていて、まるでショートコントだなと(笑)。毎日のように坊主頭3人で食堂にいるのが話題になってしまったらしく、注目されるのがちょっと恥ずかしいですね(苦笑)。でも、僕は元々子ども好きで、子どもの頃の将来の夢が幼稚園の先生だったので、みんな可愛くて、一緒にいて楽しいです。
-「虎に翼」の魅力をどう感じていますか。
人間の泥臭い部分や矛盾した部分を見事に落とし込み、きれいごとではない人間味のある物語になっていますよね。作品に込められたテーマも現代に通じるものがあり、ご覧になっている方が自分のこととして捉えられるので、皆さんが共感されるのではないでしょうか。
-三山さんは、本作の吉田恵里香さんが脚本を担当された「生理のおじさんとその娘」(23)にも出演していますが、吉田さんの脚本の魅力をどう感じていますか。
「生理のおじさんとその娘」も含め、僕の中では「挑戦的な脚本を書かれる方」という印象です。しかも、挑戦的でありながら、視聴者の共感を得られるように書かれるところが、すごいなと。さらに、専門知識も必要なはずなので、以前、ご本人に伺ってみたところ「勉強しながら何とか書いています」とおっしゃっていて。でも、勉強したばかりの知識を基に書かれたとは思えないほど、素晴らしい脚本なので、毎回驚かされています。
-今後の直明の注目ポイントを教えてください。
少し先になりますが、直明が、それまで全面的に認めていた寅子に反論するシーンがあります。その後の寅子の人生を左右する重要なシーンで、僕がずっと語り掛けるのですが、伊藤さんと2人だけで撮影に臨み、いい緊張感の中で演じることができました。監督や現場を見学していた芝居に厳しい事務所の方も、「いいシーンだった」と本気でほめてくださったので、僕もオンエアを楽しみにしています。
-それでは最後に、視聴者への言葉をお願いします。
昭和の時代を舞台にした物語ですが、現代とリンクする部分も多く、さまざまな問題について考えさせられると同時に、コミカルな場面も多いので、気軽に楽しんでいただけると思います。その中で寅子のそばにいる直明がどんなふうに成長していくのか、ぜひ見守っていてください。
(取材・文/井上健一)