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【海南自由貿易港政策】博覧会で日本製品を紹介、市場開拓を 大阪のスポーツ自転車販売会社が熱視線

海南島三亜市のリゾート地にある「三亜中央ビジネスエリア」(海南国際経済発展局提供)
海南島三亜市のリゾート地にある「三亜中央ビジネスエリア」(海南国際経済発展局提供)

 中国海南省への貿易促進をアピールするため訪日した「海南国際経済発展局」などのメンバーは、東京や名古屋などで日中経済関係団体や金融機関、製造業など大手企業を精力的に訪問した後、中小企業が多い大阪では12月8日、「海南自由貿易港政策とビジネスチャンスに関する説明会」を開催。オンラインも含め約50社が参加した。
 スポーツ自転車の製造・卸・販売を手がける「アキボウ」(大阪府堺市)は、中国市場での販売を検討しているとして、西木一彦社長らが出席。説明会の後、海南国際経済発展局の宮起君(ゴン・チージュン)副局長との個別相談で疑問点などを聞いた。

▽スポーツ自転車を中国市場へ

アキボウの西木社長
アキボウの西木社長

 西木社長によると、アキボウは海外有名ブランドのスポーツ自転車を日本国内向けに卸販売を手がけるほか、日本で開発したスポーツ自転車を東南アジアなどに販売するなど海外事業も強化している。西木社長は「中国には日本向け自転車の製造拠点はあるが、今後は販売先としても中国市場に進出したいと考えている」と話し、宮副局長に、他の経済特区との違いや、海南自由貿易港を利用して輸出するメリットなどついて質問した。

海南国際経済発展局の宮起君副局長(右)
海南国際経済発展局の宮起君副局長(右)

 宮氏は「法律(海南自由貿易港法)で裏付けされた政策であることが、他の中国の経済特区と大きな違いだ」と説明した上で「原材料を海南島で加工し、大陸(中国本土)に輸出した場合は法人税などの優遇が大きい」と説明した。また、宮氏はリゾート島でもある海南島に周囲900キロの観光道路を整備する計画があることを表明。西木社長は「スポーツ自転車ビジネスとしては興味ある話だ」と応じた。

▽博覧会に2000近いブランド出展

海南国際消費財博覧会の説明をする馬珞斯氏
海南国際消費財博覧会の説明をする馬珞斯氏

 また中国が「中国国際輸入博覧会」「中国輸出入商品交易会」「中国国際サービス貿易交易会」と並ぶ4大エキスポと位置付ける「海南国際消費財博覧会」についても紹介があった。2022年7月に開催した第2回博覧会では化粧品や宝飾品など高級品を中心に61カ国から1955ブランドが出展したことを説明。宮氏は「2023年は4月に開催する予定。アウトドアを扱うコーナーがあるので高級スポーツ自転車の出展は歓迎だ」とした。

 宮氏との個別相談の後、西木社長は「海南島には中国各地からリゾート客が訪れるので、レンタルなどで高級自転車に触れ、大陸に戻って口コミで広がる可能性も期待できる」と意気込みを語った。説明会に参加した日中貿易関係者も「中国は富裕層だけでなく、中間層の所得が増えているので購買意欲は高い」と話しており、経済成長が鈍化しているとみられている中国には依然、大きな消費マーケットがあるとしている。

2022年7月に設立した「日本企業サービスセンター」(海南国際経済発展局提供)
2022年7月に設立した「日本企業サービスセンター」(海南国際経済発展局提供)

▽ジェトロも進出サポート

 今回の説明会は日本貿易振興機構(ジェトロ)の広州事務所も後援した。ジェトロが2022年2月に公表した「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」によると、「中国、米国を最重要輸出先とする回答企業が上昇した」としており、日本企業は2大経済大国との貿易を重視していることをうかがわせた。

 ジェトロ広州事務所の田中琳大郎氏(経済分析・企業支援部部長)は、「今後も中国は市場としての魅力を維持し続けると思う。防疫政策が緩和され往来が活発化すれば、それに伴い新たなビジネスチャンスの創出が期待できる」と指摘。その上で「海南省では輸出入の際の減税など税制面のメリットがあり、特に消費者向け商品を扱う企業、医療・医薬品を扱う企業は大陸への足掛かりとすることができる」としており、法律面やビジネスコンサルティングなど進出を検討している企業へサポートを積極化している。