カルチャー

東京都中央区のヤンマー施設で米作り授業 地元児童が先人の努力学ぶ

「ヤンマー米ギャラリー」でヤンマーの社員の話を聞く児童

 米作りをテーマにしたヤンマーの体験型展示施設「ヤンマー米ギャラリー」(東京都中央区)で6月28日、地元の城東小5年生対象の校外授業があり、ヤンマーの社員を講師に、児童25人が、農機具の開発など先人の努力と工夫で生産力を高めてきた米作りの歴史などを学んだ。

 この授業は、校舎屋上の「田んぼ」で田植えなどの米作りを体験している児童の学習意欲を高める一環で実施。ヤンマーが協力し、講師は社員の齊藤小夏さんが務めた。

講師の齊藤小夏さん

 齊藤さんは、農家の重労働を緩和するため「動力もみすり機」や農業機械用の「小型ディーゼルエンジン」を開発したヤンマー創業者・山岡孫吉(1888~1962年)の一生を、数々の開発農機具の写真と共に紹介。「農家に生まれ農作業の厳しさを知る孫吉は早くから“農家を楽にさせたい”と志を立て、1933年12月23日に世界発の小型ディーゼルエンジンを開発しました。困難に直面してもあきらめずに努力と工夫を重ね当初の思いを孫吉は実現しました」と述べ、初志を持ち続けて努力と工夫を重ねることの大切さを伝えた。

 一番前の席で齊藤さんの話を聞いていた児童は「孫吉さんはすごい人だなあと思いました。目指している中学校の受験勉強でくじけそうな時もあるけど、孫吉さんを見習って、勉強を続けていきたい」と語った。

米作りの課題の解決策を当てる「お米作りの知恵」で全問正解して喜ぶ児童

 児童は、米作りの歴史やお米の魅力を伝えるヤンマー米ギャラリーの各コーナーも見学。水不足や雑草対策など米作りの諸課題への正しい解決策を当てるコンテンツには、多くの児童が集まった。このコーナーは、例えば田んぼの雑草の課題に対しては、雑草を食べるアイガモの絵を表示したサイコロ状のブロックを解決策としてディスプレイに置くと「正解」として「解決」の文字がパネルに表示される。制限時間内に7つの課題すべての解決策を当てると「クリア」だ。児童は楽しく遊びながら、米作りの課題への理解を深めることができる。

米を使った世界各地の料理を紹介する「お米の料理MAP」のコーナー

 米を使った世界各地の料理を紹介するタッチパネルコーナーも人気で、米を具材に入れるウクライナのロールキャベツ「ガルプツィ」の紹介画面を見た児童は「世界には日本の米料理と似ている料理がたくさんあって面白い。作ってみたいけど、難しそう」と笑顔で話し、ウズベキスタンの「プロフ」などほかの海外米料理の紹介画面もたくさん見ていた。

米の品種にちなんだ「お米の性格診断」コーナー

 

 画面のいくつかの質問に答えると自身の性格が、「山田錦」タイプ(自分らしさを表現しようとするクリエーター気質の持ち主)などと、米の品種にちなんで電子パネルに表示されるコーナーでは、2人の児童が診断結果に興味を持ち「当たっているよ」などと会話しながら楽しんでいた。2人は共に「お米にはたくさんの品種があることは知っていましたが、それぞれの品種の違いが今回よく分かりました。米農家さんの苦労も品種の違いによって異なるのではないかと思います」と農家の努力に思いをはせていた。

 児童の担任、五十嵐容子教諭は「(同じ東京都中央区の)地元にあるヤンマー米ギャラリーで米作りについて学習できる子どもたちは恵まれている」と話した。ヤンマー米ギャラリーは2023年1月にオープン。学校など各種団体の見学も受け付けている。問い合わせはヤンマーのホームページへ。