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待ったなしの「2024年問題」 官民で解決の取り組み活発化

「2024年問題」への対応策を説明するテクノスジャパン執行役員の畑田直樹氏=東京都中央区
「2024年問題」への対応策を説明するテクノスジャパン執行役員の畑田直樹氏=東京都中央区

 菅原文太演じる義理人情に厚いトラック運転手の主人公、“一番星”星桃次郎が活躍する東映映画『トラック野郎』シリーズ(1975~79年公開)のもう一人の主人公は、スクリーン狭しと走り回るど派手な装飾トラックの“デコトラ”(デコレーショントラック)だ。派手な電飾や“御意見無用”の粋な文句、色鮮やかな絵で飾り立てたデコトラ集団が人助けのため街道を突っ走る姿に、観客は喝采を送った。

 公開当時は映画館の外でもデコトラを見かけることは珍しくなかった。沿道の子どもたちは、日本経済と国民生活を下支えする“誇り”も載せて目の前を走るデコトラに、歓声を上げ、手を振った。

 トラック野郎全10作の監督を務めた鈴木則文さんは、「トラック野郎はなぜトラックを飾りたがるの?」と問われて「無機質な機械から人間の貌(かお)にする」ためだ、と回答した(ちくま文庫『新トラック野郎風雲録』)。鈴木監督は、デコトラには、自由と解放を求める民衆の手に芸術を取り戻した20世紀メキシコ革命期の壁画運動の精神に通底するものがあるとして「走る壁画、日本のアート・トラックよ。いつまでも庶民大衆の疾走する美術品であれ」とデコトラを走らせるトラック野郎の心意気をたたえた。

 そんなトラック野郎をはじめとするトラック運転手を取り巻く物流業界はいま大きな課題に直面する。トラック運転手の時間外労働上限規制(年間960時間)の2024年4月開始に伴うトラック運転手不足の深刻化と物流停滞への懸念、いわゆる「2024年問題」だ。物流の停滞は産業界だけでなく、国民生活への影響も大きい。

 このため国は、貸し切りバスやタクシーが荷物を運ぶことを認める「貨客混載」の許容地域をこれまでの「過疎地限定」から全国に拡大するなど、物流機能の維持に向けた取り組みを強化している。

 民間では、小売業界などの荷主側が配送回数を減らすなど運送側の負担を軽減する工夫を始めている。総務経理業務のデジタル処理システムを提供するIT企業側でも、総務経理業務効率化の一環として2024年問題解決への寄与を強調するサービスを展開する動きが出始めている。

 例えば、企業向けの生産・顧客管理などの基幹システムサービスを展開する東証プライム上場企業のテクノスジャパン(東京都新宿区)は、2年前から提供を始めた、データ共有により企業間協調を促して受発注業務の効率化を目指す注文決済サービス「コネクテッド・ビジネス・プラットフォーム(CBP)」の活用が、2024年問題の解決にも役立つとして、普及に力を入れている。

自社サービスを説明するテクノスジャパン経営執行役員の土屋政紀氏

 このサービスは、見積依頼から、見積回答、注文、注文回答、出荷案内、検収(注文品の受け取り)、請求、支払まで、取引に伴う発注~受注企業間の一連のやりとりを、発注・受注企業双方が共有するデジタルデータを使い迅速簡易に確認・処理する便益を受発注企業双方に提供する。注文数・納期の変更など市場の変化に応じた各種取引条件の変更も素早く円滑に変更できるほか、受発注企業双方が同一の取引データを共有するため、搭載チャット機能などを通じて取引ミスを回避しやすくなるという。

 また日々たまる取引共有データを素早く抽出して分析可能なデータに仕上げる「分析データ抽出機能」も搭載しており、確実な分析データを経営戦略の策定、見直しなどに生かすことができる、という。

 テクノスジャパンは、これらの受発注企業間で取引データを共有し、時間差のない取引のやりとりができるこのサービス(CBP)の特長が、2024年問題解決への寄与につながる点だという。

 テクノスジャパン執行役員の畑田直樹氏は、2024年問題対応へのこのサービスの活用策を二つ挙げる。一つは分析データ抽出機能を活用して取得できる「納期遅延理由データ」を使った“納品期間”の見直しだ。

 畑田氏は「そもそも無理な納品期間設定だったり、納品連絡自体が遅れたりするなど、納期遅延の原因が分析データから浮き彫りになる。受発注企業双方が同一データを見て遅延原因を分析するので、双方の認識に食い違いがなくなる。お互い納得ずくで遅延原因を確認できるので、合理的な納品期間の設定につながり、運転手不足対策の一つになるだろう」と話す。

さまざまな活用ができる分析データ

 もう一つは、大きな時間差をなくすことができる取引のやりとり機能を生かした、ほぼリアルタイムの確実な出荷情報の共有だ。これは、トラック運転手の長時間労働にもつながる、貨物の受け手、物流倉庫側の人手不足の解消に役立つという。

 畑田氏は「倉庫で働く労働者の不足が指摘されている。しかし商品が倉庫にいつ届くのか、直前にならないと分からないことが多く、不足する倉庫労働者のシフト編成に苦労する。確実な出荷情報をなるべく早く受発注間で共有できれば、シフト編成が容易になるはずだ」と説明する。

 テクノスジャパン経営執行役員の土屋政紀氏は「受発注データの共有化促進は、企業間のつながりを高め、日本経済の生産性向上はもちろん、2024年問題などさまざまな社会課題の解決につながる」と意気込む。

 2024年問題の解決は待ったなしだ。長時間労働や低賃金に苦しむトラック運転手の業界が、国民に元気を与えてくれたかつてのトラック野郎のような輝きを取り戻すまで、問題解決に向けた官民双方の知恵が試されている。