ビジネス

奈良市が生活保護業務のDX化でさまざまな成果 事務作業の軽減や市民の利便性向上

 デジタル技術の活用や業務の見直し、そして働き方の変革。私企業でも進められているDX化は行政でもさまざまな変化や効果を生み出している。奈良市では、生活保護業務に係る「申請」「調査」「支援」「システム処理」「情報取得」など、あらゆる場面でのDX化に取り組み、事務のスマート化を実現。たとえば時間外勤務は約4.9%削減されている。

 取り組みの主な柱は、資産調査のオンライン化、申告などのオンライン化、RPA (ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入、AI支援の導入の4つ。合わせて、会計年度任用職員の効果的な配置で、前年度に比べ生活保護受給者訪問率は約22.7%上昇、就労支援件数も約32.2%上昇した。

  具体的には、資産調査のオンライン化で電子照会システム「ピピットリンク」を導入。生活保護の決定に必要な金融機関などへの預貯金照会は、従来は回答までに約2週間かかっていたが、最短3日程度で回答できるようになった。令和6年度の預貯金照会総数1万6544件のうち、6217件(約37.5%)に対して電子照会を実施。事務作業の軽減のほか、郵送料などの経費削減にもつながった。

 申告などのオンライン化は、生活保護の受給者が自宅からスマホなどで収入申告ができるよう整備。利用者の利便性は向上している。生活保護費の算定や支給処理に関するデータ入力など、ケースワーカーが繰り返し行う事務では、RPAを活用して一部業務の自動処理化を実現。組織全体では年間約697時間の事務処理時間を削減したという。