「無印良品」を展開する良品計画(東京)は新潟県津南町(桑原悠町長)とのあいだで、地域活性化と社会課題の解決を目指して、連携協定を締結した。
日本有数の豪雪地帯にしてコメどころでもある津南町は、人口が減少し4割にものぼる高齢化率の地域をどうやって活性化させるかという課題に直面している。
連携協定は、津南町でキャンプ場を1995年から運営する良品計画の側からアプローチしたという。
良品計画は「今回の協定を契機に、従来の一時的なアウトドア・宿泊体験としてのキャンプに留まらず、津南の豊かな自然―雪・水・森林―と暮らしを通じて、人々の持続的な健康・幸福に貢献する『Well-being』を実現する新たなサービス提供を目指していきます」と説明する。
津南町の連携への期待は大きい。良品計画は「全国展開している会社なので幅広いネットワークを持っている。その中でいろいろやりたい。津南の知名度向上にも寄与するだろう」と津南町の根津和博(ねつ・かずひろ)副町長は力をこめる。
10月1日(土)、2日(日)に津南町の森林セラピー基地と無印良品津南キャンプ場の連携イベントの第一弾として、津南の自然の恵みの中で「ココロもカラダも癒されるWELLNESSミーティング2022」を開催する予定だ。
「津南キャンプ場の訪問を通じて、津南の豊かな自然と暮らしに共感した方々が、その後も継続的に津南に滞在可能となるよう、二拠点生活や移住促進に向けた環境整備についてもサポートしていきたいと考えています」(良品計画)
根津副町長によると、自然による非電力の冷却・冷蔵ともいえる雪室(ゆきむろ)での野菜貯蔵や、豊富な水資源を利用しての小水力発電に取り組んできた。また森林を切って、使って、再造林し若返らせることで、大気中の二酸化炭素吸収も可能だという。
良品計画は「こうした古くから人々の暮らしの中にある知恵や資源を活用した津南町ならではの脱炭素の取り組みを、まずは津南キャンプ場での生活に落とし込み、利用者の方々に体感していただきたいと考えています」と期待する。
また津南町は連携を通じて、町づくりの基本である「次世代リーダーの育成」にも取り組む。良品計画の「ネットワークやノウハウを活用しながら、(次世代の行政・各種産業を担うような方々とともに)勉強会をやるとともに、子どもたちの体験型フィールド・ワークを通して、地域の担い手を養成していけたらよいと考えている」と根津副町長は語る。
良品計画は信越県境に近い山伏山でキャンプサイトを運営している。津南町のホームページによると、エリア内にある薬師湖でのフィッシングやカヌー体験、各種クラフト教室やクッキング教室、自然観察会など充実した体験メニューが魅力だという。キャンプ場と、コテージやバンガローがあるキャンプ場ANNEXがある。