カルチャー

かやぶき職人の最新作 都心で見る稲わらの世界

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 旅先で伝統的なかやぶき屋根の家を見ると、その自然に包まれた家の姿に癒やされる。いまや身近にかやぶきを見る機会はほとんどなくなってしまったが、かやぶき職人が作る最新作を、都心で見ることができる。東京中央区の「YANMAR TOKYO」(ヤンマーホールディングス・大阪市)に神戸市産の稲わらを使ったロゴと什器の作品が展示されている。

 作ったのは、伝統的なかやぶき技法を生かし、現代に応用する取り組みを進める「くさかんむり」(神戸市)。使用した稲わらはなんと330束。無農薬栽培のもので、ロゴと什器の壁面は、長さを切りそろえて束状にした稲わらをパネルに積み上げて接着、バリカンやハサミで切りそろえるプロセスを繰り返し行って作った。照明による影がつかないよう、表面は均一。展示台の屋根部分を見ると、従来のかやぶき工法の一端を見ることができるという。

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かやは、ススキや稲わらなど、屋根の材料として使われる草の総称。かやぶきの伝統には、農業の中で必然的に生まれてくる稲わらを大切にするニッポンの知恵が詰まっている。

相良 育弥(株式会社くさかんむり 代表取締役社長・茅葺き職人)
相良 育弥(株式会社くさかんむり 代表取締役社長・茅葺き職人)