カルチャー

特別養子縁組への理解を深めて ミダス財団が絵本『まってたんだよ ヒカル』を出版

 

 特別養子縁組事業に取り組む公益財団法人「ミダス財団」(東京)は、特別養子縁組への理解を多くの人に深めてほしいと、絵本『まってたんだよ ヒカル』(幻冬舎・税込み1540円)をこのほど出版した。

 さまざまな事情で親が養育できない子が、新たな家族に受け入れられる「特別養子縁組」の制度。同社はそれを支援する取り組みの中で、養子縁組によって家族になり、幸せな生活を送る家庭をいくつも見てきたという。日本社会において、特別養子縁組家庭がもっと当たり前でもっとポジティブなものとして受け入れられてほしい、特別養子縁組制度で幸せになる親子を1組でも増やしたいという思いから、同財団代表の吉村英毅氏を原案者に、ライフストーリーワークの第一人者である徳永祥子氏が監修して完成したのが、絵本『まってたんだよ ヒカル』。絵は、『きいろいばけつ』『ゆめをにるなべ』などを手掛ける人気の絵本作家・つちだよしはる氏が描いた。

 特別養子縁組を支援する中で同財団が重視していることの1つが、「家族でオープンに生い立ち(ライフストーリー)を語り合う」こと。この絵本の主人公は4歳のヒカル。お父さんとお母さんに愛されていてすくすくと育っているヒカルが、いつもお父さんとお母さんにねだる「大好きなお話」は、ヒカルがこの家に来たときの話。お父さんとお母さんは、「ヒカルに はじめてあった日のことは いまでもよくおぼえているよ。びょういんにつくと、生みのおかあさんからお願いされたんだよ」と、いつものように語り出す――。ヒカルのライフストーリーを軸に織りなされる、ある家族の物語。ごく幼い頃から日常的にライフストーリーを分かち合うことで、家族の信頼関係をより強く結び、子どもが生涯にわたり自らを肯定して人生を歩む礎を築くことができると、同財団は考えているという。

 同財団は、「特別養子縁組にご縁のある方も、そうではない方も、お子さんから大人まで幅広い方々にこの絵本を手に取っていただき、家族の形・在り方に思いをはせると共に、特別養子縁組制度への理解を深めていただければ幸いです」としている。絵本『まってたんだよ ヒカル』は、書店や電子書籍で購入できる。