日本写真家協会(JPS、東京)は9月17日に若手写真家を対象とする第20回名取洋之助写真賞の受賞者を発表した。本賞は板谷めぐみさん(京都府)の「京大吉田寮~記憶と想起の結節点~」、奨励賞は木村孝さんの「アマタ―『永遠の街』の肖像」に決まった。
板谷さんは大阪府出身。看護師としてケニアやスリランカ、インドで国際保健医療活動に従事した後、故福島菊次郎氏に師事。現在は京都大学大学院で文化人類学を研究しながら、京都大学吉田寮や国内外の戦争体験者を撮影している。作品は、「京大吉田寮~記憶と想起の結節点~」(カラー30点)で、1913年創立で現存最古の学生寮とされる吉田寮を舞台に、太平洋戦争期の歴史と現代の学生の姿を重ね合わせ、大学のあり方を問いかけている。

奨励賞を受賞した木村さんは日本大学などで学び、出版社勤務を経てフリーに。タイの新興工業団地アマタナコーンと隣接するニュータウンを2014年から取材し、2017年以降は住民を自宅で撮影してきた。多国籍労働者や家族など多様な人々の日常を通し、都市化が進むアジアの現在を映し出した。
授賞式は12月10日にアルカディア市ヶ谷(東京都千代田区)で行われる。受賞作品展は2026年1月に富士フイルムフォトサロン東京、同月下旬に富士フイルムフォトサロン大阪で開催予定。