カルチャー

歌謡史展「昭和歌謡は杉並から生まれた」を開催中 東京・杉並の老舗レコード会社「テイチク」

 老舗レコード会社「テイチクエンタテインメント」の東京吹込所、現在で言うレコーディングスタジオが東京・杉並区堀之内に開設されたのは1934年(昭和9)年。以後65年にわたり数々のヒット曲が生み出された。杉並区立郷土博物館本館・特別展示室で12月7日(日)まで、展示会「昭和歌謡は杉並から生まれた―テイチク東京吹込所物語―」が開催されている。

 開催時間は9時~17時。休館日は毎週月曜日・毎月第3木曜日(祝日・休日の場合は開館、翌平日休館)。観覧料は100円(中学生以下・障害者手帳等を提示する人と付き添い者は無料、20人以上の団体は1人80円)

 展示会では昭和100年の節目を記念し、「東京ラプソディ」や「東京五輪音頭」などの名曲や、テイチクに在籍した昭和の大スター石原裕次郎さん、三波春夫さんらの功績を紹介している。昭和歌謡史の専門家である刑部芳則さん(日本大学商学部教授)監修で、刑部さん所蔵の貴重な資料や、テイチクに今も残る石原裕次郎さん専用マイクなども展示される。

 今回の展示会開催にあたり、1977年のデビュー曲「あなたに命がけ」をはじめ、「ふたり酒」、「二輪草」といったヒット曲を同所でレコーディングした歌手の川中美幸さんは「レコーディングというのは、ある意味戦いです。作詞の先生、作曲の先生、レコード会社のディレクター、そして歌を表現する歌手、それぞれの解釈がぶつかり合いながら出来上がります。なかなか先生方の思い描いたように歌えず、何度も何度も壁にぶつかり、レコーディング中に涙を流したこともありました。そんなデビュー当時、スタジオの玄関を出た真ん中にある大きな樹や庭の緑や花を見て気分転換をし、新たな気分でレコーディングするという繰り返しだったことを思い出します」と、当時を振り返ったという。