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配信ドキュメンタリー映画364作品の中から2025年視聴率ベスト20を発表 年末年始は一気見のチャンス!

 ドキュメンタリー映画専門の動画配信サービス「アジアンドキュメンタリーズ」(東京)が、2025年のアジアンドキュメンタリーズ配信作品から視聴率上位20作を発表した。「視聴率ベスト20」は、毎年12月に実施している恒例の特集で、年間を通じて最も注目を集めた作品を紹介するとともに、今年一年を象徴する傾向や話題を振り返っている。

 1位は2年連続で『ガザ 自由への闘い』。停戦後もイスラエルの爆撃が続くパレスチナ・ガザ地区で、自由を求めてあらがい続ける市民の行動を追った作品。2位の『分断された台湾』は、民主主義の危機と、それに対する世代間の意識の違いという「分断」も描いている。3位は環境の危機的状況をとらえた『50℃で生きる』。気候変動がもはや「未来の課題」ではなく「今目の前にある現実」なのだということを訴える作品。これらの作品がトップ3を占めたことは、視聴者が世界規模の危機や社会的な分断、そして人間の尊厳といったテーマに強い関心を寄せている証左といえよう。 

  今年のランキングで注目されるのは「路地裏キッチン」シリーズが3作もランクインしていること。これらの作品には、アジアの市場や屋台の熱気、匂い、騒音、そして必死に働く人々の息づかいまで感じられる映像があふれている。「食べることは、生きること」という原始的なパワー、昔の日本にもあった「ご近所付き合い」や「家族総出での食事作り」の風景など、便利さの果てに人間関係が希薄になったわれわれに「人と人との温かいおせっかいやつながり」の大切さを教えてくれる。

 ランキングに入る作品の多くは2025年に配信を開始した作品だが、1位『ガザ 自由への闘い』のように、2024年よりも前に配信を開始した作品が、他に2作ランクインしている。『結婚しない、できない私』は、結婚の意味を再考させると同時に、婚活の困難さや家族からのプレッシャーなどの現実が浮き彫りになった作品。『街角の盗電師』は、生きるために電気を盗む民衆と電力会社との攻防を通じ、インフラ問題と貧困の悪循環という地球規模の社会課題を描いている。

  ランクインした作品群から読み取れるのは、人々が地球規模の具体的な危機(戦争、環境破壊)と、その危機によって露呈する社会の不公平や格差に、強い関心を向けているということ。世界の「不都合な真実」から目を背けたくないという人は、ぜひこれらの作品と向き合ってみては。年末年始は一気見のチャンス。まずはランクインした作品から視聴してみよう。