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「第46回日本アカデミー賞」最優秀主演女優賞は岸井ゆきの 「他者を演じることで、自分を見つめることができる」

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 「第46回日本アカデミー賞授賞式」が10日、東京都内で行われ、岸井ゆきのが『ケイコ 目を澄ませて』の演技で最優秀主演女優賞を受賞した。

 岸井は、聴覚障害のある実在のプロボクサーの生き方に着想を得た三宅唱監督の同作で、主人公の小河ケイコを演じた。

 自分を追い込み、ボクシングで結果を残してきたものの、不安や恐怖からモチベーションを失いかけるケイコが、再びリングに上がるまでの葛藤を、声だけでなく手話や瞳、肉体を使って表現した。

 名前を呼ばれた瞬間、驚いたような表情を見せた岸井は、最優秀賞のブロンズを手に、「身に余る賞をありがとうございます。この三宅組でなかったら、そして誰一人が欠けても私はここに立てていなかったと思います。原案となった小笠原恵子さんに感謝します」と感極まった様子でスピーチした。

 「映画が大好き」という岸井は「映画を見ているときは、何語でもしゃべれるし、どこにでも行ける。演じるときも常に役があって、他者を演じることで、自分を見ることができるというか。現場でワーッと(芝居を)やって、家に帰って自分の生活を見つめると『ああ、やっぱり私って何でもないんだな』と思えて安心するんです」と語った。

 また、「30年、40年も前の映画を初めて見たときに、『ああ、これを見るために、今までがあったんだな』と思うことがあって。映画はずっとそこで見つけてもらうのを待っている。そういうふうに、まだ出会う前の誰かのために、生きることはできるのかなと思ったりして」と話した。

 最後は、「本当にこの作品には、私が見たことがない景色をたくさん見せてもらいました。劇場で、まだ上映しています。ぜひ劇場で見ていただきたいです」と呼び掛けた。