映画『首』の完成報告会見が15日、東京都内で行われ、出演者の西島秀俊、加瀬亮、中村獅童、浅野忠信、大森南朋と北野武監督が登壇した。
北野監督が構想に30年を費やした本作は、戦国時代の本能寺の変を描く。
北野監督が自ら羽柴秀吉を演じたほか、狂乱の天下人である織田信長(加瀬)に複雑な感情を抱く明智光秀を西島、秀吉を支える軍師の黒田官兵衛を浅野、秀吉の弟・秀長を大森が演じ、獅童は、秀吉に憧れる農民の難波茂助を演じた。
北野監督は「ここ何年か歴史ブームで、本能寺の変がよく描かれるけど、小説家や歴史考証家がいうには80ぐらい説がある。その中でも秀吉の(中国)大返しというのは出来レースであって、裏で秀吉がかなり動いたというのが自分の考え。それがこの映画の構想で、いずれこれを映画化してやろうと何年も思っていた」と明かした。
『座頭市』(03)以来、約20年ぶりの時代劇となった北野監督は「衆道というか、男同士が絡み合うというのはNHK的には非常に避けたりするけど、家臣が殿様に対して命を懸けるというのは、そういう関係であるというのが自分の考え。そういうことを描かずに戦国時代を描くのはおかしい」と持論を展開。
さらに、「戦国大名とかは、要は悪いやつ。一般の人なんて死んでも関係ない。その残酷さと生と死をバックボーンとした生き方、男同士の愛じゃないけど、死を前にした男同士の関係をうまく描けたらと思った」と製作の意図を語った。
西島は「北野監督に呼んでいただいたのは『Dolls』(02)以来。自分の成長した姿を見せようなんてことは絶対に考えず、無欲に。監督の頭の中にある作品を現実の世界に出すために、自分の力を出し尽くそうと毎日臨みました。とても幸せな毎日でした」と語った。
オファーの経緯については、「マネジャーから話を聞いた。その数日後、バラエティーの現場で監督とご一緒したときに、廊下で『話聞いてる? 頼むね』と言われて、『はい、分かりました』と。多分あれがオファーだったのかな」と笑顔で振り返った。
北野作品への出演は3度目となった加瀬は「前回の『アウトレイジ』シリーズでもかなり自分からは遠い役を演じて大変だったので、今回も難しいだろうなと思って参加したけど、案の定大変な目に遭いました」と苦労を明かした。
「北野作品ならではの特徴」を聞かれると、「残酷なシーンも数々出てくるけど、どうしてか分からないけど、監督がそういうものを描くと、最終的にはすごく品のいい映像に収まっている。他の監督と明らかに違うところだと思います」と紹介。
北野監督は「それが私と三池(崇史)監督の違い。私の方が教養があって家柄がいいので」と冗談を交えて笑いを誘った。
映画は2023年秋に公開。