特殊詐欺は一向になくならない。知らないうちに片棒を担いでしまい逮捕!──などという事例もあるようだ。どうして、そうなってしまうのかといえば、SNS上で闇バイトの募集に引っ掛かってしまうケースが少なくないという。そうした中、特殊詐欺・フィッシング詐欺、「グレーゾーン犯罪」等の対策サービスを提供するトビラシステムズ(名古屋市)は、「闇バイト」についての実態調査を実施した。調査期間は2023年11月17日〜11月18日で、1206人が回答した。
短期間で高収入が得られるなどとのうたい文句にご用心! そうした甘言で、特殊詐欺の受け子や出し子、強盗など、犯罪の実行役を募集する「闇バイト」が増加しており、警察庁の発表では、昨年1月〜7月末までに検挙された被疑者が受け子などになった経緯は「SNSからの応募」が46.9%で、特殊詐欺に加担した人の約半数が「闇バイト」がきっかけという。ちなみに、警察庁が発表した検挙状況によると、受け子の5人に1人が少年だった。
そこで同社では、SNS上の闇バイトに実際に応募し、特殊詐欺をはじめさまざまな犯罪の実行役を募集する「リクルーター」とやり取りを行い、実態を調査。犯罪に加担させられるまでの過程、応募に伴うリスクなど、調査によってわかった事例を公開した。なお、当然のことながら、調査において、実際の犯罪行為には加担していない。
意識調査で、闇バイトまたはそれと思われる求人をSNSやインターネット上で見たことがある人は、15歳〜19歳で29.1%、20代で26.6%。10代・20代は全体平均よりも割合が高くなっている。SNSには、「高収入」「即日即金」「誰でもできる」などの甘い言葉が氾濫している。まず、こうした甘い募集には注意した方がいい。また、以下のような犯罪に関する隠語を使った投稿も多くあるので、その危険性を認識しよう。
・「受け子」「出し子」「受け出し」「UD」・・・特殊詐欺の被害者から現金やキャッシュカードを受け取ったり、だまし取った現金をATMから引き出したりする役のこと
・「かけ子」・・・特殊詐欺の電話をかける役のこと
・「叩き」・・・強盗の意味
・「運び」・・・薬物など違法なものや、詐欺でだまし取った金品を運ぶこと
闇バイトの募集を行うXのアカウントは数多く存在するが、同一組織が複数のアカウントを使用して、闇バイトの募集を行っている可能性もある。そこで、募集に対してダイレクトメッセージ(DM)でコンタクトを取ると、多くの場合は秘匿性の高いメッセージアプリ(Telegram、Signal等)でやり取りを要求。知らないで募集した場合、「なぜ秘密にしなければならないのか?」──など、おかしいと思わなければならないだろう。
次の段階としては、身分証明書の提示や、闇バイトに参加するためのより詳細なやり取りに進む。身分証明書の提示、年齢や性別、住んでいる地域などを聞かれる、稼働できるスケジュールの調整、犯行現場や集合場所までの移動方法の確認──闇バイトは、参加だけでなく応募の段階でもさまざまなリスクが伴う実態が調査によって明らかになった。金を持ち逃げした際に備えるとして、報酬の3~4割にあたる「預かり金」を要求されるケースもあるようだ。
闇バイトで恐ろしいのは、応募する際に身分証明書の提示や家族の情報などの提供に応じてしまい、そうなると、やめたいと思っても「家に行く」「家族に危害を加える」などと犯罪組織から脅されやめられなくなることだ。
あやしいと思ったら、家族や身近な人、最寄りの警察署、各都道府県警察に設置されている少年相談窓口等に相談しよう。