特定外来生物であるシカ科の「キョン」の利活用を目指す「伊豆大島ジビエ」(東京都大島町)が、日本初のキョン専門ジビエ屋を開くために実施しているクラウドファンディングが注目されている。クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で公開したプロジェクト「日本初のキョン専門ジビエ屋を開き、美味しいキョン料理を振る舞いたい!」が、公開24時間で目標金額50万円を達成。さらに、開始3日で100万円(200%)の支援を達成し、11月26日現在、134万円(268%)の支援を集めている。ネクストゴール第1弾を150万円として設定し、2025年1月15日(水)まで継続して実施する。
伊豆大島では、推定約1万8000頭のキョンが生息。その見た目はかわいらしいが、鳴き声や、特産品の「明日葉」への食害、フンなどが島の人々の深刻な悩み事に。高い繁殖力(年増加率は推定約40%)を持ち、在来の植生や地域の農業に甚大な被害をもたらしているため、特定外来生物に指定されている。東京都は2024年度に約9億円の予算を投じてキョンの防除事業を実施。年間約6000頭のキョンが駆除されているが、全て焼却処分されている。
キョンを、単なる殺処分ではなく食肉として有効活用し、地域経済や観光面の活性化を目指すのが、伊豆大島ジビエの狙い。プロジェクトの代表を務めるのは19歳猟師の河原晴馬さん。河原さんは高校在学中に伊豆大島に移住。2024年3月、通信制高校を卒業後、千葉県にあるジビエ処理施設で猟師修行を行い、野生鳥獣の捕獲技術やジビエを作る技術を習得した。7月に狩猟免許を取得し、9月に伊豆大島に戻り、伊豆大島ジビエを開業した。
高品質なジビエを生産するためには、解体処理施設に必要なプレハブ冷蔵室の導入や敷地整備の費用がかかる。今回のクラウドファンディングで集まった支援金は、設備導入費・敷地改装費に充てる。リターンは、5500円~がキョンジビエ(モモ、ロース、スネ、ヒレ、ハツ)など、5万円がキョン1頭分のキョンジビエ(10部位+ハツ)、2万5000円が伊豆大島でキョンの捕獲解体試食体験・プライベートイベントへの参加券などだ。