カルチャー

『仏教を「経営」する 実験寺院のフィールドワーク』人類学者が迫る現代仏教の可能性

 仏教といえば、日本では葬式や美術、寺院などの観光名所が思い浮かぶという人が多いかもしれない。でも東南アジアに旅すると、たくさんの修行僧を見かける場所も多く、今もブッダの教えが現役であることを実感できる。仏教国ミャンマーの「森の寺院」で出家した人類学者が、現代仏教の可能性に迫った『仏教を「経営」する 実験寺院のフィールドワーク』(藏本龍介著、NHK出版、税込み1760円)が発売された。

 著者は、2008年にミャンマーの「森の寺院」で出家し、2つのサンガ(僧侶集団)に入りその実態を調査・研究。布施のみで生きる理想的境地を経験して仏教の可能性を確信した著者は、帰国後日本で新寺院を立ち上げ、現代日本に即した仏教のあり方を追求し始めた。そこで浮かび上がってきたのは、日本で理想的な寺院を運営することの難しさ。宗教の本質と現代的可能性に迫る学術ノンフィクションだ。

藏本龍介氏(くらもと・りょうすけ)