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「ひのえうま」、迷信気にしない人が多数 経済不安の方が少子化進行に影響大

 厚生労働省の人口動態統計速報など基にした推計では、2025年の出生数は66万7542人程度で、前年比約2.7%減と日本の出生数は2年連続で70万人を割り込み、統計開始以来の過去最少を更新する状況だ。少子化の進行が止まらない中、2026年はえとで60年に一度巡ってくる「丙午(ひのえうま)」。もっとも、育児支援サイトを運営するベビーカレンダー(東京)が実施した「丙午と妊娠・出産に関するアンケート」では、「迷信は気にしない」という人が多く、専門家も、丙午ショックより経済不安に警鐘を鳴らしている。

 調査は2025年12月8〜12日に、妊娠・育児中の20〜40代女性935人を対象にインターネットで実施した。前回の丙午である1966年には、「この年に生まれた女性は気性が激しい」などの迷信が広まり、出生数が前年比で約25%も激減したというが、今回の調査では、8割が丙午の迷信などについて知ってはいるものの、「ただの迷信なので気にする必要はない」という人が44.7%、「特にイメージはない」という人も39.4%。丙午生まれの女性のイメージについては、むしろ「芯が強く、自立したしっかり者」(282件)「エネルギッシュで、リーダーシップがある」(239件)「強運で、才能豊かな個性派」(95件)など、ポジティブなイメージがネガティブなものを2.5倍も上回った。かつて敬遠された「女性の強さ」は、自立やリーダーシップといった魅力として再定義されているようだ。

 丙午の出産については、「迷信は気にせず、自分たちの計画やタイミングを優先したい(優先した)」と回答した人が76.2%にのぼった。

 人口問題や地方創生に詳しい日本総合研究所調査部の主席研究員、藤波匠氏は、「1966年のような丙午ショックが再現される可能性は低い」と指摘。2025年の出生動向については、「減少傾向は続いているが、急減フェーズからは脱しつつある」と分析する。

 今回のアンケート調査で、「最初に妊娠・出産を決めるにあたり、最も不安に感じたこと」をたずねると、「金銭面」が32.0%(299人)で最多だった。藤波氏は、近年増えている「同い年婚」は、経済的に対等なパートナーシップである一方、「2人で働いて初めて生活水準が維持できる」という前提があり、景気の先行きが不透明になると「今の生活を維持できるか」「片方が働けなくなったらどうするか」という不安に直結しやすく、結果として妊娠・出産に踏み切れなくなる傾向が強まっているとし、「少子化を進めているのは、経済不安と将来設計の難しさにある。迷信のような一時的な要因よりも、日々の暮らしや将来の見通しが立てにくいことこそが、妊娠・出産の大きな壁になっている」と指摘している。