TABIZINE10周年を記念して、ライターそれぞれが自由に綴る旅エッセイ。第10回目は、徳島在住のやまももわかめ丸さん。「旅は楽しいだけでなく、疲れた心を癒してくれることもあります。また、目標や夢、昔を思い出させてくれる。とくに私は旅を通して、視点や考え方まで変わることもあるということを体感しました。国内ばかりにはなりますが、これまでに足を運んだ場所から、とくに刺激を受けたスポットとともに旅の魅力について紹介します」
肉ジュバンを脱ぎ捨てて
※写真は、「むきばんだ史跡公園」(鳥取県西伯郡)。
いつも着ている洋服に洗濯が必要なように、自分自身の心や考え方もリフレッシュしてみませんか。その大切さを実感したのは、自分がいま立たされている状況への失意や言葉にできない将来への不安に気持ちが沈み、押し潰されそうになっていたときのことです。
※写真は、京都を代表する老舗の商店街「京都三条会商店街」(京都府京都市)。
どこでどのように過ごすのか、まったく計画も立てないまま、ふいに思い立って出かけたことがあります。目的地も決めず、ただ車を走らせる。見慣れた景色に人気の飲食店、お気に入りのスポットや通り慣れた道は、だんだんと知らない場所へと変わっていきました。
みつけたのは「自然のフォトフレーム」
※写真は、直島町に設置してあった屋外モニュメントから見えた山(香川県香川郡)。
辿り着いたのは、太陽の光が降り注ぐ、明るく雰囲気のいい山奥。名前も知らないような人気のないその場所に身を置くと、両サイド、そして天井にある木々が、まるで目の前にある風景を囲むフォトフレームのように見えたのです。
※写真は、フォトフレームのようにも見えたモニュメント(香川県香川郡直島町)。
自然が創り出しているフォトフレームに気づいたとき、驚きとともに感動が込み上げてきて、何だか気分もゆっくりと晴れていきました。
※写真は、モニュメントから見えた山(香川県香川郡直島町)。
はじめての場所には、無意識のうちに強い関心や興味を持つ人も多いはず。だからこそ私も、自然のフォトフレームに気づけたのだと思っています。
旅が私にもたらしたもの
※写真は、猿の横顔に見えると有名な「猿岩」(長崎県壱岐市郷ノ浦町)。
いつも見ている木々や建物、モニュメントなどがフォトフレームになることに気づいてから、普段の見慣れた景色も面白く映るようになりました。ふと視点を変えるだけで、フォトフレームが浮かび上がってくるようになったからです。
※写真は、東洋のナイアガラと呼ばれている「吹割の滝」(群馬県沼田市)。
ただ、同行者がいるときに熱を込めてそのことを話しても、「どこがフォトフレーム?」と首を傾げられることがほとんど。でもそれは、ほかの人よりも得しているのだと感じてしまいます。だって、ほかの人が何も感じないようなことで幸せな気持ちになれるのですから。
※宍道湖の夕方の風景(島根県松江市、出雲市)。
このときの経験は、ステキな旅の思い出づくりに役立っているだけでなく、目の前にある問題や課題について考えるときにも非常に役立っています。視点を変えて考えることで解決策や対策などがみえてくることも意外と多いからです。
旅で得する人になる
※写真は、おかやま旭川遊覧クルーズ乗り場と岡山城、岡山戦国武将隊の皆様(岡山県岡山市)。
今回紹介したような経験から、いつもとは違う場所へ行くことで、新しい発見や驚くような体験、そして新しい出会いなどに遭遇できる可能性が高まり、心や考え方のリフレッシュにもつながり視野も広がるのではないかと考えています。視野が広がることでさまざまな視点から物事を考えられるようになれば、それはとてもラッキーなことですよね!
※写真は、岡山城(岡山県岡山市)。
気づかないあいだに少しずつ身に纏ってしまう、日々のストレスや悩みといったしがらみなど無色透明の肉ジュバン。たまにはそんな肉ジュバンを脱ぎ捨てて、自分自身を洗濯する「旅」という選択をしてみてはいかがでしょうか?
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