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小学生から大学生まで新たに83人支援 上月財団、活躍の30人にスポーツ賞

セレモニーに参加した認定選手や受賞者、受賞者OB
セレモニーに参加した認定選手や受賞者、受賞者OB

 スポーツで次代を担う人材の発掘とトップアスリート育成の支援を行っている上月財団(上月景正理事長)は9月7日、東京都内のホテルで2023年度の「上月スポーツ選手支援事業」認定式と、世界的な大会で活躍した選手に贈る「上月スポーツ賞」の表彰式を行った。普段、練習するグラウンドや体育館とは異なり、華やかな雰囲気が漂う都会のホテルでのセレモニーに、若い選手たちには「頑張ってよかった」という達成感に満ちた表情が浮かび、同時に「またここに来よう」という新たな意欲も芽生えたようだ。

▽助成額が増え、高大生は年120万円

 23年度の支援対象者は、小学生から大学生まで83人。今回から増額され、小中学生には年間90万円、高校・大学生には年間120万円が助成される。いずれも将来が期待される有望選手ばかりで、陸上の世界選手権代表に選ばれた栁田大輝(東洋大2年)や黒川和樹(法政大4年)、フィギュアスケートの世界ジュニア選手権女子優勝の島田麻央(木下アカデミー、宇治市立広野中3年)らが選ばれた。黒川は「法大陸上部はアルバイトができないので、合宿費用に充てます。本当に助かる」と、うれしそうに話した。

 認定者を代表して松島美空(京都市立竹田小4年)は「支援認定は、わたしにとっても家族にとっても励みになる。夢をかなえられるように頑張ります」と、誓いの言葉を述べた。上月財団のこうした支援事業は、上月理事長が会長を務めるアミューズメント機器の製造やソフト開発のコナミグループの株式配当が充てられている。2002年から今回まで、1410人が助成を受けた。

▽世界で勝てば表彰

 23年度の「上月スポーツ賞」は、今夏の世界水泳選手権アーティスティックスイミング女子ソロで2大会連続2冠を達成した乾友紀子(井村ク)、来年夏のパリ五輪柔道男子100キロ超級の代表に内定した斉藤立(国士舘大)、フィギュアスケート世界選手権女子で2連覇した坂本花織(シスメックス)ら男女30選手が選ばれた。

 6度目の受賞となった乾は「今年も表彰してもらい、本当にうれしい」と表情をほころばせた。斉藤は「こういう席に出ると、親子で五輪代表と話題になり、父の偉大さが分かる。気を引き締めて来年のパリ五輪に臨みたい」と、自ら父の仁さん(故人、ロサンゼルス、ソウル五輪金メダリスト)の名前を出しメダル獲得を誓った。フェンシング世界選手権フルーレ女子団体で銅メダルを獲得した東晟良(PEAKS)は「世界で勝っていかないと、こういうところで表彰されない。頑張って、また来たいと思った」と、正直な胸のうちを明かした。

 受賞者を代表して、坂本花織が「ジュニアのころから支援事業の対象選手に認定されてきました。サポートは大きな励みであり感謝しています」と、伸びやかな演技とは裏腹な緊張気味のあいさつに会場が和んだ。

2023年度の「上月スポーツ賞」受賞者

 

▽支援で日本スポーツ界の底上げを

 民間の篤志家がスポーツ支援に乗り出した例では、水泳の山田スイミングクラブを設立した山田輝郎氏(故人、元ロート製薬会長)や、錦織圭らを輩出したテニスの若手選手のための基金を設立した盛田正明氏(元ソニー副社長)らが有名。上月財団は特定の競技にとどまらずスポーツ界全体を対象に広げている。式の中であいさつした財団の五十嵐久人理事(新潟大名誉教授)の「支援事業認定者が、スポーツ賞受賞者となって戻ってくることを願っている。それが日本のスポーツ界の底上げにつながる」という言葉に、この事業の理念が示されている。

 上月スポーツ賞受賞者は次の通り。
水泳 板橋美波(飛込)、乾友紀子、比嘉もえ(以上アーティスティックスイミング)、瀬戸大也、本多灯(以上競泳)▽体操 神本雄也(体操競技)、石川和(トランポリン)▽柔道 太田彪雅、斉藤立、堀川恵、村尾三四郎▽スキー 葛西春香(ノルディック複合)、三木つばき(スノーボード)▽スケート 坂本花織、島田麻央、三浦佳生(以上フィギュア)、髙木美帆(スピード)▽卓球 伊藤美誠、木原美悠、早田ひな、戸上隼輔、張本智和▽バドミントン 奈良岡功大▽フェンシング 東晟良、上野優佳、飯村一輝▽ゴルフ 中島啓太、蛭田みな美▽スポーツクライミング 森秋彩▽eスポーツ 森翔真