えっ!4泊5日、食事付きで絶景を回る船の旅がそんな値段で? 知らないと損する驚きのクルーズ事情

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 青空の下、大海原をゆっくりと進む優雅な客船。家族や親しい人とそんな船で旅ができたら、最高の気分だろう。でも、きっと何十万円も何百万円もかかるだろうなぁ…。そんなクルーズ旅のイメージが、大きく変わろうとしている。富裕層向けではなく、もっと手軽なクルーズが日本でも本格化しつつあるのだ。たとえば福岡、舞鶴、金沢、韓国の釜山を回る4泊5日の食事付きの船の旅なら、6万円代で実現する。ホテルに滞在しているかのような船に乗って、天橋立や兼六園、白川郷などの絶景を回り、釜山で異国情緒を味わえる旅が、だ。

 そんな日本のクルーズ事情について、コスタクルーズ日本支社の糸川雄介社長に聞いた。

 

 ――クルーズとは一言で言うとどういう旅ですか?

アジア初就航の「コスタ ネオロマンチカ」(全長220.6メートル、約5万7千トン)
アジア初就航の「コスタ ネオロマンチカ」(全長220.6メートル、約5万7千トン)

 「船でめぐる3泊以上の旅行」をいいます。フェリーとの違いでいうと、フェリーは公共交通機関です。A地点からB地点へ、定時に移動します。一方でクルーズは、A地点からスタートして、寄港地と呼ばれる見どころのある港にいくつか立ち寄ってA地点に戻ってきます。

 クルーズの最大の目的は、船の旅としてお客さまに満足していただくことです。必ずしも定時運航にこだわりません。分かりやすい例でいうと、低気圧が近づいている場合、フェリーは公共交通機関の使命として、低気圧にぶつかってでも定時運航を目指さなければなりませんが、クルーズはお客さまの快適性を優先し、悪天候の影響が出ないようコースや出発時間を変えることがあります。多少遅れても揺れる海域はできるだけ避けて、お客さまが船の中で快適に過ごせることを第一に考えます。

 

 ――お金持ちが楽しむ船旅、というイメージがありますが?

船内には6つのレストランと6つのバーやラウンジが
船内には6つのレストランと6つのバーやラウンジが

 多くの日本人にとってクルーズは、お金持ちがドレスアップして豪華客船に乗るとか、何百万円もかけて世界を一周するとか、そういうイメージだと思います。でも実態はそうではありません。世界のクルーズ会社はラグジュアリー、プレミアム、カジュアルの3つに分けられます。一番安い部屋の1泊あたりの単価は、ラグジュアリーだと5万円、プレミアムだと2万~2万5千円、カジュアルは7千円から1万円程度が目安ですが、比率でいうと、ラグジュアリーに属するクルーズ会社は全体のたった5%です。プレミアムの会社が15%、カジュアルの会社が80%です。日本人のイメージにある豪華なクルーズは、世界の市場では5%しか占めていないのです。

 しかも日本には、カジュアルのクルーズを提供する会社が今まであまりありませんでした。コスタクルーズはイタリア・ジェノバに本社がある、カジュアルクラスに属するクルーズ会社で、日本では国内発着のクルーズを運営しています。日本でも手軽に乗れる船旅を提供することで、旅行の選択肢として温泉や海水浴だけでなくクルーズも検討していただけるようにしたいと思います。

 

 ――クルーズの魅力は何ですか?

イタリアンフード、ワインやチーズなどメニューは多彩
イタリアンフード、ワインやチーズなどメニューは多彩

 飛行機とか電車は移動のための手段ですが、クルーズは船そのものが目的地になり得ます。船の中では、夕食においしいコース料理を食べたり、食後にショーを見たりできます。日中は海を見ながら読書するのもよし、船内で開催される数々のイベントに参加するのもよし。船の中そのものがテーマパークというか、リゾートなんです。

 海外では、同じコースのクルーズを毎年リピートするお客さまがいらっしゃいます。その方々にとっては、船の中の楽しみが、寄港地での観光と同じぐらいのウエイトを占めています。寄港地に着いても、他のお客さまが外に出ている間に船の中を満喫したいとおっしゃって、まったく降りないお客さまもいるぐらいです。

 

 ――なぜ日本ではまだ一般的になっていないのでしょうか?

最新のテクノロジーを備えた有料のスパエリア
最新のテクノロジーを備えた有料のスパエリア

 やはり数千万円もする豪華客船の世界一周ツアーというような、バブルのころのイメージがまだ強いのでしょう。例えば私たちが運営するクルーズですと、4泊5日で福岡、舞鶴、金沢、韓国の釜山を回るもので、一番安い部屋が6万2800円(1室大人2名利用時の1名料金。港湾税、船内チップ別)からになっています。お食事代(一部有料のレストランあり)や、船内のショーやイベントの代金(一部有料)なども含んでいます。さらに、12歳以下のお子さまで大人2名と同室の方は、2名まで無料です。移動と食事と宿泊も含めての金額とすると、コストパフォーマンスはかなり良いのではと思います。

 我々クルーズ会社も「若い人や家族皆さんで、気軽に乗れます」とアピールを始めていますが、情報が少ないし、乗船した経験がある人も少ないために、分からないことだらけなのではないでしょうか。

 

 ――船酔いが心配なのですが…。

 船はその大きさや長さで、揺れが軽減されます。クルーズに使用される船は5万トンや7万トンといった大きな船ですから、心配されるほどには揺れないと思います。例えば漁船ぐらいの大きさですと、船は波にそのまま乗りますのでとても揺れますが、クルーズ船はその大きさに加え、最新鋭の横揺れ防止装置もついています。また、海が荒れている海域も極力避けて運航します。

 

 ――コスタクルーズのツアーで、おすすめの船内エンターテインメントは?

青空の下、プールサイドで日光浴や読書など思い思いの時間を
青空の下、プールサイドで日光浴や読書など思い思いの時間を

 私たちはイタリアのクルーズ会社ですので、船に乗った瞬間からイタリアの雰囲気を楽しめるというのが売りです。その中でも「カーニバル・オブ・ベニス」というパーティーは仮面をつけてみんなで踊るという、要は仮面舞踏会ですが、年配の方から小さなお子さままで、老若男女が楽しめるイベントです。日本ではまず見られない光景です。

 船内での過ごし方も醍醐味の一つで、エレガントなクルーズライフが楽しめます。さまざまなレストランやラウンジを楽しめるほか、スパやプールも楽しんでいただきたい。ぜひクルーズで非日常を体験していただきたいと思います。

 

「バルコニーデラックス」の客室
「バルコニーデラックス」の客室

 一般社団法人日本外航客船協会が実施する第9回「クルーズ・オブ・ザ・イヤー2016」のグランプリを獲得したコスタクルーズ社。2017年は、日本海を周遊する4泊5日から7泊8日までの多彩な5航路から選べるクルーズを企画している。すべてのクルーズで福岡、舞鶴、金沢から乗船・下船が可能。各航路には外国の寄港地が一つ以上含まれ、旅程によって韓国(釜山、ソクチョ)、ロシアのウラジオストクを訪問できる。また、青森ねぶた祭の期間中には、青森に寄港しお祭りを観光する限定クルーズも用意されている。

 日本は島国なので、比較的短期間の旅行でもクルーズなら毎日違う寄港地で観光できる。電車や車の旅と異なり、次の目的地への移動に荷物のパッキングが不要という点もラクチンだ。

 今年の休暇は、お財布にも優しい船の旅を企画してみては?

 コスタクルーズ社ホームページ www.costajapan.com