未来へ、ビジネスのヒント探る 知識人、経営者がオンラインで議論

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 新型コロナウイルスの影響で生活や仕事のスタイルが変化していく中、ビジネスマンや知識人が未来へ向けての議論を交わす「INNOVATION GARDEN」のオンライン・ビジネスカンファレンス(有料)が10月9、10の両日、開催された。2日間で、ビジネスや文化で時代をけん引する70人近い出演者が、最先端の取り組みを紹介し、コロナと共存する世界を生き抜くヒントを提案。出演者の話や意見に共鳴した者同士が、オンラインでつながっていく試みもなされた。主催者は今後、さらに内容を充実させ、2021年2月の第2回につなげる予定だ。

イノベーションの発火点に

 出演者は、ベンチャー企業の若い起業家やITを駆使して経営改革に挑んでいる全国の経営者らに加え、来年の東京オリンピック・パラリンピックの舞台となる新国立競技場を設計した建築家の隈研吾さん、投資家としても知られるタレントのロンドンブーツ1号2号の田村淳さんら、多彩な顔ぶれ。世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター長の須賀千鶴さんの「INNOVATION GARDENが日本型イノベーションの発火点になってほしい」との基調講演でイベントは幕を開けた。

基調講演をした須賀千鶴さん
基調講演をした須賀千鶴さん

 隈さんは、今まで人のベクトルは地方から都市へだったが、ポストコロナでは反転する可能性を指摘。都市から資金提供し、地方にある技術を掘り起こすことが必要だと訴えた。現に、木材を多用する日本型住宅の良さを見直し、鹿児島県に製材工場を新設した三菱地所の例なども紹介された。独特の投資哲学を持つ田村さんは話題も豊富で、アイデアやイノベーション創出ができる人は「自ら動き回り、インプットの多い人」と話した。

都市から地方への資金提供を訴える隈研吾さん(©︎・川澄・小林研二写真事務所)
都市から地方への資金提供を訴える隈研吾さん(©︎・川澄・小林研二写真事務所)

DXの取り組みを紹介

 今、話題となっているDX(デジタル・トランスフォーメーション)に取り組んでいる北海道に本社を置くサツドラホールディングス株式会社の富山浩樹氏は、ポストコロナではオンライン、オフラインの長所を融合することが大事になると指摘。リアル(対面)と、その裏側にあるオンラインの最適の組み合わせを探るため、新しい店舗形態の本社ビルを建てたと説明した。

DXの取り組みを話す富山浩樹さん(右上)とSansan株式会社の久永航さん(左上)。右下はモデレーターを務めた松田一敬さん
DXの取り組みを話す富山浩樹さん(右上)とSansan株式会社の久永航さん(左上)。右下はモデレーターを務めた松田一敬さん

 このほか、テレビでもおなじみの国際政治学者の三浦瑠麗さんや時代の先端を行く文化人、ビジネスマン、起業家らが、さまざまな分野に渡って知見を披露した。視聴している参加者が出演者の意見や経験談に共鳴し、いわば「いいね」を表示すると、同じタイミングで表示した者同士がオンラインでつながる仕組みも試された。これだと単なる自己紹介に終わらず、すぐに共鳴した部分から会話を始められるメリットがある。

▽次回は来年2月

 今回が初のオンラインイベントで、次回は来年2月を予定している。時代を理解する基礎知識を学び、先達のさまざまな取り組みを見て新たなビジネスのヒントを探り、同じような考えに立つ者同士が知り合う。会期中に出会った人とコミュニティを通して繋がり、さらなる関係構築をイベント後もサポート。日本型イノベーションが生まれるきっかけになるのが、このカンファレンスの狙いだ。小さなタネから、大きな花が咲くまでを見守っていく。
 「INNOVATION GARDEN」のホームページはhttps://innovation-garden.com/