エンタメ

木竜麻生「橋本愛さんや仲野太賀さんと思い切ってお芝居ができました」 デビュー10年を迎える実力派若手女優が謎の女を熱演『熱のあとに』【インタビュー】

 愛したホスト・隼人を刺し殺そうとした沙苗(橋本愛)は、事件から6年後、お見合いで出会った小泉健太(仲野太賀)と結婚する。平穏な結婚生活が始まったと思った矢先、謎めいた女・足立よしこが現れ、沙苗を翻弄(ほんろう)する…。2019年に起きた新宿ホスト殺人未遂事件にインスパイアされたミステリアスで鮮烈な愛の物語『熱のあとに』が、2月2日から全国公開される。本作で謎の女・足立よしこを演じるのは昨年、『Winny』や『福田村事件』などの話題作で活躍し、今年はデビュー10年の節目を迎える実力派若手女優・木竜麻生。公開を前に、橋本愛、仲野太賀と共演した撮影の舞台裏を語ってくれた。

木竜麻生(ヘアメイク:主代美樹、スタイリスト:カワサキタカフミ)(C)エンタメOVO

 

-木竜さん演じる足立の謎めいたたたずまいと緊迫感あふれる物語から、目が離せませんでした。出演のオファーを受けた時のお気持ちはいかがでしたか。

 最初に台本を読んだとき、私自身が「この映画を見たい!」と思ったんです。登場人物たちが会話の中で、日常ではなじみの薄い言葉や詩的な言葉を使う瞬間があるのですが、それが逆に魅力的で、ページをめくる手が止まらず、この人たちが織りなす物語を見てみたくて。どの登場人物も興味深かったのですが、山本(英)監督から足立役をオファーされたときは、すごくうれしかったです。というのも、こんなふうに物語をかき回すような役を任せていただくのは、初めてだったので。

-その役割を見事に果たしていましたが、沙苗役の橋本愛さんや健太役の仲野太賀さんとのお芝居で心がけたことは?

 今回は、お2人に胸を借りるつもりで現場に臨んでいました。お2人とも懐が深く、私の芝居をしっかり受け止めてくれましたし、その日の撮影が終わった後はお芝居の相談にも乗ってくれて。劇中とは正反対で、経験豊富なお2人に終始、私が助けられっぱなしでした(笑)。実は今回、ロケ地を兼ねてお借りした長野のペンションで、スタッフもキャストも一緒に2週間くらい宿泊しながら撮影していたんです。だからオフの時には、3人でボウリング場に行き、スコアに「沙苗」、「健太」、「よしこ」と役名を入力してボウリングをしたりもしていました(笑)。

-足立と沙苗のように緊張感ある関係の役を演じる場合、役者同士が距離を取ることも多いと思いますが、それとは真逆の距離感であの緊迫したお芝居が生まれたことが驚きです。

 たぶん、キャストとスタッフ全員が同じ時間と空間を共有し、風通しよくコミュニケーションを取れたのがよかったんだと思います。例えば、足立と沙苗が教会の告解室で話をする重要なシーンは、台本に「2人が手を合わせる」と書いてあったんです。だから、そのつもりで現場に行ってみたら、2人の間に格子があったので、監督が「手を合わせるのはやめよう」とおっしゃって。でも、本番を待つ間、私と橋本さんで「2人の関係を考えると、これは必要」と話し合い、監督にも提案させていただいた結果、格子を挟んだ状態で手を合わせることになりました。そんなふうに、橋本さんや仲野さんと大事な部分を共有できている感覚もあり、お互いに信頼し合っていたので、思い切ってお芝居ができました。

『熱のあとに』©2024 Nekojarashi/BittersEnd/Hitsukisha