確かに、買いもののたびに値上がりを実感する昨今、寄付に気持ちを向ける余裕がなくなっているかもしれない。困窮者に食料支援を行うフードバンクの6割が食料の寄付減少を訴え、支援継続の危機回避が課題になっている。
年間約3000件の食料支援を行うフードバンク仙台(仙台市)でも、米の在庫が残り1ヶ月分を割り込むなど、活動開始以来の危機的な状況に置かれている。同フードバンクが、農林水産省のホームページ掲載の全国のフードバンク団体にメールで依頼して7月19日までに調査したところ、66団体が回答した。食料寄付量が「減少した」という団体が40.9%、「大いに減少した」が22.7%で、合計では63.6%と、6割強の団体で食品寄付が減少している。食料提供活動にも「支障がある」ところが39%、「大いに支障がある」が43.9%と深刻だ。現状、「渡す食料の量が減少した」(36件)、「食品を渡す人数や支援団体の数を減少させざるを得なかった」(13件)など、支援継続を脅かしている現状が浮き彫りになっている。
利用者の困窮状況についての設問では、「一日一食で過ごしている」(39件)、「3日以上食べていない利用者がいる」(25件)、また料金滞納で「電気が止まっている」(41件)、「ガスが止まっている」(39件)、「水道が止まっている」(27件)など深刻な状況が浮かび上がっている。「1週間以上何も食べていない」(2件)という極度の飢餓状態にある困窮者もおり、このまま食料寄付の減少が続けば、民間団体による食料のセーフティーネット機能は停止、餓死や孤立死がこれまで以上に急速に広がってしまうことが懸念されている。