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未来の女性の働き方、語り合う フィガロジャポンが万博会場で特別イベント

女性の働き方とジェンダー格差の課題について考えたトークイベント=大阪・夢洲

 雑誌『フィガロジャポン』が働く女性たちを応援するプロジェクト「フィガロジャポンBWA(Business with Attitude)」の特別トークイベントが4月25日、大阪・関西万博のウーマンズパビリオン内で行われた。女性が直面する働き方の課題をデータとともに掘り下げ、より良い未来に向け何が必要かを考えた。

 テーマは「フィガロジャポンと考える、未来のメディアと女性の働き方のカタチ」。共同通信社編集局次長の山脇絵里子さん、女子中高生にIT・STEM(科学・技術・工学・数学)教育の機会を創出する活動を行うNPO法人Waffle理事長の田中沙弥果さんをゲストに、フィガロジャポンBWA事務局長の藤本淑子さんがモデレーターを務めた。

 山脇さんは、政治、教育、行政などの分野で都道府県ごとのジェンダー格差を数値化した「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」を公表する「地域からジェンダー平等研究会」事務局長も務める。一般的に東京などの都市ほど格差が小さいと思われがちだが、「都市部が必ずしも(指数の)上位ではない」(山脇さん)。例えば、都道府県庁の管理職の数などを調べた行政分野ではトップ主導の人事改革を進めてきた鳥取県は4年連続の1位だ。一方、万博が行われる大阪府は女性の政治進出の指数が高いが、共働き家庭の家事・育児に使う時間の男女格差が最下位に近い46位。山脇さんは「どの県の指数もでこぼこがあり、全部いいところはない。地域ごとの課題を丁寧に見ないと日本は変わっていかない」と述べた。

 田中さんがWaffleを立ち上げたきっかけは、小学校のプログラミング教育では男女の積極性に差がないのに、中高生向けコンテスト参加者の男女比は20対1と、女子が激減する事実を知ったこと。高校入学後の文系・理系の選択でも「理系は男性という固定観念があり、女子は先生や親からの一言で進路を変えてしまう」と話した。才能の芽を開かせるため、女子学生が女性技術者に話を聞く事業などを進めているという。また、デジタル化時代に女性の活躍が進まないと、人工知能(AI)が男性の知識に偏って学習し、人材登用などで新たな格差が生まれる懸念もあると指摘した。

 世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップ指数(2024年発表)で、日本は世界146カ国のうち116位。フィガロジャポンの提携するマダムフィガロがあるフランスははるかに上の22位だが、理系の男性優位や、公的な保育サポートが足りない地方で女性の雇用が不安定化するなど課題があるという。フィガロジャポンBWAの藤本さんは「日本人だから、地方だからではなく、日本の問題は世界の女性の課題につながっている」と語った。


■仲間をつくり、声を上げて

 子育てと仕事の両立、マネジメント、女性優遇による逆差別など多岐にわたるトークを通じ、一貫して発信されたのは、ジェンダー格差に誰もが関心を持ち、一緒に課題解決に向かうことの大切さだ。「こういう社会になったらいい、課題が解決したらいいと思ったら、仲間を見つけ、声を上げ、一歩を踏み出してほしい」と山脇さん。田中さんは「男性に(NPOの)活動を話してみると、『自分たちも(何らかの取り組みを)始めました』と言ってくれることも多い。課題をいろいろな人と共有して関心を持ってもらってほしい」と呼びかけた。