カルチャー

平和への願い、小野リサさんの歌声に乗せ 大阪・関西万博ブラジル館の閉館イベント 

ブラジルパビリオン内で歌うボサノバ歌手の小野リサさん(中央)ら=大阪市内

 

 大阪・関西万博の閉幕を3日後に控えた10月10日、ブラジルパビリオンでは、ブラジル生まれの日本人ボサノバ歌手・小野リサさんを迎えたクロージングイベントが行われた。館内に集った関係者は、小野さんの伸びやかで優しい歌声に乗せ、平和への願いを世界に発信した。

 パビリオンの運営主体であるブラジル貿易投資庁(ApexBrasil)のジョルジ・ヴィアナ長官は、参加した各国・機関のパビリオン関係者らを前に感謝を表し、「ブラジル館は、地球に平和のメッセージを伝える」と述べた。「これまでに3000万人が飢餓状態から脱し、世界を養えるほどの強固な農業・畜産業をはじめ、大きな発展を遂げている」と、ブラジルの強さも強調した。パビリオンのキュレーターを務めたビア・レッサ氏は、「世界を変えるには勇気、忍耐、喜びを持つことが大切。私たちには、まだたくさんの仕事がある」と指摘。関西・大阪万博の閉幕を新たな旅の始まりとしたさらなる挑戦を力強く呼びかけた。

 小野リサさんは、ピアニストの宮本貴奈さん、サックス奏者のグスタヴォ・アナクレート氏とともに、館内の真っ白なインスタレーションの中にしつらえられたステージで演奏。「Garota de Ipanema(日本名:イパネマの娘)」など有名な楽曲をリズミカルなギターに合わせて歌った。最後は、リオデジャネイロを意味するブラジルの象徴歌「Cidade Maravilhosa(素晴らしい町)」。「また会う日まで。未来の国・ブラジルを、よろしくお願いします」と締めくくった。

関係者に感謝を伝えるブラジル貿易投資庁のジョルジ・ヴィアナ長官(左から2人目)、パビリオンのキュレーターを務めたビア・レッサ氏(同3人目)ら=大阪市内

 ブラジルパビリオンは、環境問題や自然との共生をテーマに、アートで人間のあり方を表現した。天井や床に白いビニールで作られた人間や動物のオブジェが配置されたインスタレーションが赤や紫などの光に照らされる光景が、人々を魅了。伝統衣装「パランゴレ」から着想を得た紫や黄色のマント約1000枚が来館者に毎日配られたことも人気を呼んだ。広報担当者によると、来場者は150万人を大きく超えたという。