ダイバーシティーは時代の流れだが、そうした中にあって、企業をみると着実に女性社長の比率が高くなっているようだ。帝国データバンクが国内の女性社長比率について調査を行ったところ、2022年は8.2%と今なお1割に満たない水準、前年からの増加率も0.1%にとどまっているが、統計としてさかのぼれる1990年は4.5%、2000年には5.6%、2010年には6.8%とわずかずつだが、着実に上昇している。
この調査は自社データベースをもとに、全国約119万社の事業会社を対象に女性が社長(代表)を務める企業について分析を行った。2021年5月に続き9回目となり、集計対象は「株式会社」「有限会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」。
最初に女性社長を年齢構成比でみると、「70~74歳」が14.5%で最も多い。60歳以上の女性社長は全体の59.7%を占め、平均年齢は62.9歳となるなど、女性社長の高齢化が目立つ。ちなみに、男性社長の男性社長では年齢構成比が50~64歳の3区分でいずれも14%台、さらに、平均年齢は60.4歳で女性の方が高い。
業種別にみると、「不動産」が17.2%になり、他業種より大きく差をつけ最も高い割合となっている。次いで「サービス」(11.1%)や「小売」(10.8%)のような消費者向けの比率が高い。より細かい業種細分類別では、「保育所」が41.0%でトップとなった。「化粧品販売」(35.6%)や「美容業」(34.2%)といった美容関連、「老人福祉事業」(31.1%)、「身体障害者福祉事業」(29.0%)など社会福祉関連が多い。就任経緯別でみると、「同族承継」による就任が50.7%となり、半数を超している。
一方、都道府県別では、「沖縄県」が11.6%で最も高く、10年連続でトップに。また、以前から女性の活躍が目立つ「徳島県」が同率で並び、18年ぶりのトップとなった。反対に、「岐阜県」は5.8%と13年連続の最下位となったが、女性社長割合が低い製造業が多く集まる中部地方は全体的に低い傾向がある。女性社長の出身大学別では、「日本大学」が前年比23人増の269人となり3年連続で最多となった。以下、「慶應義塾大学」「早稲田大学」の出身者が目立つ。
近年注目されるダイバーシティー(多様性)は組織の強靭化(きょうじんか)には欠かせず、過去の研究では、性別多様性が高い方がより高い業績を上げる傾向がみられるという。