空港は広大だ。パスポートコントロールを通過した先も、搭乗ゲートまで歩いて10分以上ということは珍しくない。店を散策がてら歩くから苦にならないと思いつつ、高齢になったらと考えると確かに身体的負担は大きくなる。介助が必要な人ならなおさらだ。スペインのバルセロナ=エル・プラット空港とイタリア・ローマのフィウミチーノ空港では、WHILL自動運転サービス(WHILL・東京)の運用が始まった。ゲート間の移動などに活用される。
世界的に高齢化が進む一方で旅行者は増加。歩行に困難や不安を抱える人に対するサービスは航空業界でも大きな課題になっている。空港内での車椅子の介助サービスの需要増や待ち時間の延長、介助スタッフの身体的負担増などに加え、運営コストの上昇や人的リソース不足に対する解決策が模索されている。そこで、従来の移動サービスをDX化することで、高齢化や旅行需要増で急務となる移動環境の整備、スタッフの身体的負担の軽減や省力化を目指したのが、この自動運転サービスだ。
バルセロナ空港ではターミナル1の保安エリア内で2台が運用され、A、B、C全エリアの搭乗ゲートを結ぶルートをカバー。これから出発する人を目的の搭乗ゲートまで送り届けたり、乗り継ぎでゲート間を移動する際や、到着ゲートまで迎えに行き所定の場所まで送り届けたりと、幅広い用途で活用される。
フィウミチーノ空港ではターミナル3の保安エリア内で4台が運用され、約30カ所の搭乗ゲートと3カ所のラウンジに向かうことができる。対応言語は13言語にも及び、運営スタッフの操作で目的地が設定されたWHILL自動運転モビリティに乗車するだけで、指定の場所まで移動することができる。降車後は、元の場所や次の人が利用する場所まで無人返却される。
国内ではすでに羽田空港、関西国際空港、成田国際空港など5つの空港で運用されている。
