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【週末映画コラム】関西にもひどい地域格差が…『翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~』/戦国版の「アウトレイジ」『首』

『首』(11月23日公開)

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 天下統一を目指す織田信長(加瀬亮)は、毛利軍、武田軍、上杉軍、京都の寺社勢力と激しい攻防を繰り広げていた。そんな中、家臣の荒木村重(遠藤憲一)が謀反を起こして姿を消す。信長は明智光秀(西島秀俊)や羽柴秀吉(ビートたけし)ら家臣たちを集め、自身の跡目相続をエサに村重の捜索命令を下す。

 秀吉は弟の秀長(大森南朋)や軍師の黒田官兵衛(浅野忠信)らと共に策を練り、元忍の芸人・曽呂利新左衛門(木村祐一)に村重を探すよう指示。実は秀吉はこの騒動に乗じて信長と光秀を陥れ、天下を取ることを狙っていた。

 宣伝文句は、北野武監督が構想に30年を費やして監督・脚本を手がけ、本能寺の変を題材に壮大なスケールで活写した戦国スペクタクル映画。武将や忍、芸人、農民らさまざまな人物の野望と策略が入り乱れるさまを、バイオレンスと笑いをちりばめながら描き出すというもの。

 ところが、「見たことがないような戦国物を見せる」と豪語していた割には、グロテスクなシーンや男色シーンが目立つだけであまり新味はない。戦国版の「アウトレイジ」(暴力団抗争)を見せられたような感じがした。

 何より、たけしの秀吉が年を取り過ぎていて違和感があった。せめて他の役者にやらせれば随分印象は変わったと思うが…。

(田中雄二)