■季節の変わり目は食欲が増大して食べ過ぎる!?
日本は四季がありますので、季節の代わり目が4回あります。東洋思想では、立春・立夏・立秋・立冬の前18日間を「土用(どよう)」と言います。それぞれ、冬土用、春土用、夏土用、秋土用と言います。2025年の立春は2月3日でしたので、1月16日から2月2日までが冬土用の期間です。
東洋医学では、土用の時期は、食欲が増大すると考えます。満腹感を得にくい時期ですので、つい食べ過ぎる傾向にあります。しかも冬の時期は運動量が減少しがちですので、食料の増大は体重の増加につながります。
また、土用の時期は「脾臓」の働きが低下して、体液の循環が悪くなると考えられています。「脾臓」の機能が低下し始めると、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが発生するという見方です。同時に、目のかゆみ、目の充血、涙が出やすくなります。人によっては、体がだるい、熱っぽい、イライラする、喉や顔、首がかゆい、集中力が低下する等の症状が出てきます。このような状態の時、東洋医学では「邪気(じゃき)」に冒されていると言います。「邪気」には、「風邪(ふうじゃ)」「寒邪(かんじゃ)」「湿邪(しつじゃ)」があります。食べ過ぎの期間が1~2週間続くと胃腸の機能が低下して東洋医学の病名である「風邪(ふうじゃ・かぜ)」の症状が出てきますので、冬土用の過ごし方には注意が必要です。
立春が過ぎると関東ではスギ花粉の飛散が多くなります。特に、バレンタインデーを過ぎたころからは花粉が増大します。胃腸機能が低下している状態の人が、チョコレートなどの甘いものを取り過ぎると、免疫機能が乱れて鼻や目の症状が助長されます。
「風邪(かぜ)」の症状は、流行性感冒(インフルエンザ)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や季節性アレルギー性鼻炎(花粉症状)に似ています。
症状を抑えるために薬物を服用しても効果を得られない人は、背景に食べ過ぎによる胃腸の機能低下が、考えられます。
免疫機能の異常を感じている人は、JIJICO内にあるコラム「人体の9つの穴を清潔にすることと免疫力アップでウイルス対策を!」をご参照戴きたく思います。
■胃腸の機能低下を防ぐためにできる事はある?
鼻づまりや目のかゆみなどの症状を引き起こさないために、胃腸に負担を掛けない工夫が必要です。
食事をする際に大切なことは、
(1) 良く噛む
(2) 座って食べる
(3) 間食を避ける
(4) 冷たい物の飲食を避ける
(5) サラダや刺身などの生ものを控える
(6) 20時までに食事を終える
などです。
(1)早食いは消化力に支障を生じます。白米は10回以上、玄米は30回以上噛むなどして、消化を助けると胃腸の負担を軽減できます。
(2)立ち食いは消化活動に負担をかけます。座って食べると内臓の位置が安定して消化力を発揮できます。
(3)胃の中に食物が入っていない時間を作ることも大切です。間食は極力控えることが大切です。
(4)冷たい物は胃の疲労を生みます。極力常温もしくは温かい物の飲食がお勧めです。
(5)生ものは消化に時間を要しますので、サラダや刺身などの食べ過ぎは要注意です。
(6)夜遅くまで食事をしていると消化時間が長くなります。22時以降の飲食は控えることが望ましいと言えます。
胃腸が弱い人は、毎日の生活を見直す事が大切です。
詳しくは、JIJICO内にあるコラム「花粉症は寝不足や冷たい物の飲食が原因!?症状の軽減に鍼灸治療は役立つ?」をご参照戴きたく思います。
■鼻づまりにヨガ(YOGA)や鼻うがいが有効!
耳鼻咽喉科医の石井正則先生は、NHKテレビ『あさイチ』で、ヨガ(YOGA)のポーズ(アーサナ)をすると、鼻づまりに即効性があることを紹介しています。また、ヨガ(YOGA)をすると、胃腸の機能回復に役立ちます。
日本耳鼻咽喉科外科学会では、花粉症対策として「鼻うがい」を推奨しています。起床後や外出後に「鼻うがい」をすると、くしゃみ、鼻水、鼻づまりは 抑えられます。毎日2~3回鼻うがいすることが大切です。アレルギー反応を生じやすい人に、お勧めです。
詳しくは、JIJICO内にあるコラム「花粉症対策はマスクだけで大丈夫? 東洋医学を活用して花粉症予防を!」をご参照戴きたく思います。
■胃腸の機能向上や花粉症対策に鍼灸治療は効果的
胃腸の機能回復に鍼灸治療は有効です。消化力向上に役立ちます。
また、
目の症状 目のかゆみ、目の充血、涙が出やすい
鼻の症状 くしゃみ、鼻水、鼻づまり
全身症状 体がだるい、熱っぽい、イライラする、喉や顔、首がかゆい、集中力が低下する
などの症状に、鍼灸治療は最適です。鍼灸治療は身体の外側から内臓機能に働きかけることが可能な「内外科治療」です。薬物治療(内科治療)で効果を得られない人や外科手術(外科治療)をしても痛みが消失しない人は、是非鍼灸治療(内外科治療)をお試し戴きたく思います。
症状が出たその日のうちに鍼灸治療で体の調和を取って戴ければ、1回から数回の治療で症状が軽減または消失することを実感戴けると思います。長年お悩みの人は、お近くの鍼灸院または鍼灸師が勤務している医療提供施設にご相談ください。
胃腸を丈夫にしたいとお考えの人には、ヨガ(YOGA)がお勧めです。また、ヨガ(YOGA)の運動法と呼吸法を身に付けることによって、花粉症の予防や治療に繋がります。清野が呼称する養正(ようせい)治療は、日常の適正な生活です。詳しくお知りになりたい方は、清野鍼灸整骨院ホームページ「くらしと養生」をご参照ください。
<筆者略歴>
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清野 充典:鍼灸師 1982年、西洋医学を理解した東洋医学者の育成を目指し世界で初めて設立された鍼灸医学専門教育機関「明治鍼灸短期大学(現明治国際医療大学)」鍼灸学部を卒業。1987年2月2日、東京都調布市で清野鍼灸整骨院を開院。明治国際医療大学客員教授、早稲田大学特別招聘講師等歴任。
「鍼灸を国民医療」にすべく、東京大学、早稲田大学、順天堂大学等の日本国内を始め、海外の様々な大学や医療機関の人たちと研究を進めている。
1991年には、東京都府中市で分院の清野鍼灸整骨院府中センターを開設。1985年から清野メディカルヨーガ/清野ヨーガ道場を主宰し、保健活動を行っている。毎週木曜日に「ヨーガ教室」を開催して、多くの人に東洋医学に基づいた健康管理方法を伝えている。
清野 充典:鍼灸師
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