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【はばたけラボ 連載「弁当の日の卒業生」⑩】「弁当の日」の卒業生は、児童・生徒たちだけではない

 未来世代がはばたくために何ができるかを考えるプロジェクト「はばたけラボ」の新連載「弁当の日の卒業生」。「弁当の日」、その日は買い出しから片付けまで全部一人で。2001年に香川県の小学校で始まった食育活動は、約25年を経て全国に広がっています。その提唱者である竹下和男氏が「弁当の日」の卒業生の今をつづります。今回は、先生編。

 「子どもが作る弁当の日(以下「弁当の日」)ってなんだ?と思いました。たぶん一番反対していた一人です」

 この連載コラムは、私が校長として「弁当の日」を実施した香川県の滝宮小学校・国分寺中学校・綾上中学校の児童・生徒の卒業生たちの「今」を紹介するものです。けれども今回は、国分寺中学校で「弁当の日」に取り組んだ先生たちの「今」の紹介です。国分寺中学校で「弁当の日」に取り組んだのは2004年からです。ですから先生たちもおのずと21年の齢を重ねています。昨年の10月18日の「弁当の日25周年記念大会」に出席した先生たちが中心の11名(他2名が遺影で出席)が今日(1月17日)にスナックに集合して、25周年記念大会の「打ち上げ会」(新年会)をしたのです。

 冒頭の言葉は「今なら言ってもいいか」という気持ちになった元体育教員の言葉でした。滝宮小学校の時は「弁当の日」に取り組んだ5・6年生の学級担任だけに、弁当作りを課しました。弁当を作っていない学年の先生たちは給食指導をしていました。中学校の授業は教科担任制なので、そもそも全教科の先生たちに生徒たちの弁当作りの指導を課せられません。でも彼らは全員が「弁当の日」には自分の手作り弁当を持参してくれました。そして先述の11名(男性は8名)全員が、21年後の「今」も台所に立っているのです。当時は独身だった男女が結婚し、親になり、ともにわが子に食事を作ってやっています。退職後の自分の健康を、自分の手料理で管理できている人もいます。「本当に食事って大切ですよね。料理はやってみると本当に楽しかった。退職してからは毎日作り続けました」が冒頭の言葉を行った元体育教員の言葉です。参加者全員の話を聞きながらつくづく感じていました。国分寺中学校の「弁当の日」が学力と生徒指導面で大きな成果をあげられたのは、生徒たちの目の前で弁当作りに挑戦しながら喜々として成長し続けている教師集団の姿を見せてきたからだと。

 「打ち上げ会」と思って出席したのに、私をゲストにした25周年記念祝賀会で、工夫を凝らした記念盾とオリジナルのトレーナーをプレゼントしてくれました。教師冥利(みょうり)に尽きる一日になりました。

竹下和男(たけした・かずお)/1949年香川県出身。小学校、中学校教員、教育行政職を経て2001年度より綾南町立滝宮小学校校長として「弁当の日」を始める。定年退職後2010年度より執筆・講演活動を行っている。著書に『“弁当の日”がやってきた』(自然食通信社)、『できる!を伸ばす弁当の日』(共同通信社・編著)などがある。


 #はばたけラボは、日々のくらしを通じて未来世代のはばたきを応援するプロジェクトです。誰もが幸せな100年未来をともに創りあげるために、食をはじめとした「くらし」を見つめ直す機会や、くらしの中に夢中になれる楽しさ、ワクワク感を実感できる体験を提供します。そのために、パートナー企業であるキッコーマン、クリナップ、クレハ、信州ハム、住友生命保険、全国農業協同組合連合会、日清オイリオグループ、雪印メグミルク、アートネイチャー、ヤンマーホールディングス、ハイセンスジャパン、ミキハウスとともにさまざまな活動を行っています。