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「みんなで沖縄をもっとよくしていってほしい」故郷が舞台の作品で湧き上がった思い 仲間由紀恵(比嘉優子)【「ちむどんどん」インタビュー】

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 NHKで放送中の連続テレビ小説「ちむどんどん」。戦後の沖縄で四兄妹の次女として生まれ育ったヒロイン・比嘉暢子(黒島結菜)が上京し、料理人の道を目指して奮闘する物語だ。本作で、それぞれの人生を歩む暢子たち比嘉家四兄妹を温かく見守る母・優子を演じるのは、舞台となる沖縄出身の仲間由紀恵。7月18日から放送の第15週で明らかになった優子の戦争体験をはじめ、役や作品に込めた思いを四兄妹への愛情あふれる言葉とともに語ってくれた。

比嘉優子役の仲間由紀恵 (C)NHK

-第15週では優子の戦争体験が明らかになりました。演じるに当たって、どんなことを心掛けましたか。

 「ちむどんどん」は、沖縄を舞台に1964年頃から現代まで、長期間にわたる物語ということで、「どんな歴史や文化をチョイスしたお話になるのかな?」と思っていたんです。そうしたら、戦争の話にも触れる上に、私が語り部のような役割を担わせていただけると伺い、とても光栄に思いました。こういう形で戦争のことをお伝えできるのは、私にとっても大変、意味のあることなので、一生懸命取り組ませていただきました。今回、戦争のことを改めて勉強させていただきましたが、「忘れてはいけない」という思いがさらに強くなりました。

-戦争について語られる一連の場面、台本を読んだときの印象はいかがでしたか。

 まず驚いたのが、「優子の戦争体験をここまで具体的に演じていいんだ!?」ということです。でも、そういうものを皆さんに実感していただくには、それぐらいグイっと踏み込んだ方が伝わるのかなと。台本からは、脚本家の羽原(大介)さんや制作統括の小林(大児)さんをはじめ、作り手の皆さんの沖縄に対する愛情や、そういうものをどうしても伝えたいという思いがひしひしと伝わってきました。共演者の皆さんも、あの辺りのシーンではいつもと少し違う雰囲気で、心を込めて撮影に臨んでいたように思います。

-その前には、これまでご近所同士で親しくしてきた善一さん(山路和弘)と優子の再婚話が飛び出しました。そのときの優子の気持ちをどう捉えましたか。

 優子としては、「そんな話が自分に持ち上がるとは」という驚きが一番大きかったと思います。というのも、優子は(亡き夫の)賢三さん(大森南朋)が建てて、家族が一緒に暮らしてきた家にずっと住んでいるんですけど、子どもたちが外に出て行くたびに、「みんなの帰りをここで待っているよ」、「帰ってくることがあっても、自分がいるから大丈夫」、「私はずっと賢三さんとこの家で暮らすね」みたいなことを言うんです。だから、何年たっても、優子の中には「いつも賢三さんと一緒」という思いがあるんですよね。就職や結婚など、いろんな人生の壁を乗り越えていく子どもたちを支えるときも、優子は常に賢三さんを思い出しながら接してきましたし。だから、ものすごく戸惑ったと思います。

-優子の心の中には、常に賢三さんがいるんですね。

 そうですね。優子は今でも賢三さんが作ってくれた木のかんざしを差しているんです。そこからも分かるように、優子の中で「賢三さんと一緒」という気持ちはずっと変わりません。

-ところで、仲間さんご自身の母親としての経験が、四兄妹の母親を演じる上で役立っている部分はありますか。

 どうでしょう…。具体的なことは、自分ではなかなか分からないのですが…。ただ、子役が演じていた時代から子どもたちの成長を見守ってきたという設定なので、私の中にも「あんな小さかった子たちが、いろんな壁を乗り越え、それぞれ自分のやりたいことを見付けて、人生を踏み出している」という思いは確かにあります。そのことを考えるだけで泣けてきますし、実際に撮影でも長い時間を過ごしているので、愛情や母性など、あらゆる気持ちがみんなに対して湧いてきて、頑張っている姿を見るだけでジーンとくるものはあります。

-そんな優子にとって大切な比嘉家四兄妹は、これからどうなるのでしょうか。

 詳しいことは言えませんが、まず、料理人の夢を追って東京に出た暢子は、これからまた人生の節目を迎えることになります。そのとき、どんな選択をしていくのか、ぜひ注目してください。子どもが生まれた良子(川口春奈)も、母として、妻として、これからどう成長していくのかが見どころです。年頃を迎えた末っ子の歌子(上白石萌歌)にも、恋や結婚の話が全くないわけではありません。ただ、簡単にはいかないんですよね…。そして、日本中が注目するニーニー(=賢秀/竜星涼)。そんな話があるのかどうか…謎ですね(笑)。とはいえ、ニーニーはこれからも“寅さん”のように、いろんなところにふらふらと現れて驚かせてくれるので、ぜひお楽しみに。それぞれの道を歩む四兄妹の成長を、温かく見守ってください。