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尾上右近、目指すは“分別のある子ども” 「責任を背負って、なおかつはしゃげる人になりたい」【インタビュー】

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 歌舞伎のみならず、ミュージカルや映像作品、バラエティー番組にも積極的に出演し、広く活躍している尾上右近。12月30日から2023年1月1日に上演される、J‐CULTURE FEST presents 井筒装束シリーズ 詩楽劇「八雲立つ」では、日本神話に登場するスサノオを演じる。このシリーズは、本物の装束をまとう舞台公演として2018年にスタート。今回は、尾上流4代目家元の尾上菊之丞による構成・演出で、知っているようで知らなかった日本の神々の伝説を描く。右近に公演への思いや2023年の目標などを聞いた。

尾上右近 (ヘアメーク:Storm(Linx)/スタイリスト:三島和也(tatanca) (C)エンタメOVO

-年末年始を彩る公演となりますが、まずは本作への意気込みを。

 なかなか年末年始に舞台のお仕事をさせていただく機会はないと思うので、僕も忙しい身になったななんて(笑)。素直にうれしいです。

-今回は、スサノオの成長物語やイワナガヒメの闇落ち、天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)の誕生からイワナガヒメの神上がりまでを描くと聞いていますが、右近さんが本作やスサノオという役柄について、今、どう感じているのかを聞かせてください。

 そもそも日本神話は普遍的なお話だと思います。ヒーローはどこまでもヒーローで、ダークはどこまでもダークと役割が決まっていて、メッセージ性がはっきりしている。すごく分かりやすい物語です。僕は今回、その中でスサノオというお役を演じさせていただきますが、ヒーロー的でもあり、暴れん坊でもある非常にエネルギッシュな人物です。

 今回は、歌舞伎的要素もふんだんに入れて演じさせていただくと、演出の(尾上)菊之丞先生と共お話をさせていただいています。とはいえ、さまざまなジャンルのプロフェッショナルな方たちが集まってくださっているので、それぞれのジャンルの持ち味を生かした作品になると思います。僕の役割は、それをかき混ぜることだと思うので、その役割をうまくできたらと思っています。歌舞伎の良さは“空気を読んでいないのにかっこいい”ところにもあると思うので、堂々と空気を読まずにお役を務められたらと今の段階では思っています。

-舞台で暴れてやろうと?

 エネルギッシュに活動的に演じさせていただくと思います。ただ、神話ですので、物語の前半は精神的な表現も多くあります。今回、2人スサノオのシーンがあり、僕が演じる歌舞伎のスサノオと石見神楽の方によるスサノオが登場するので、どう違いを見せていくかもポイントだと思います。日本文化の交流を見ていただけると思うので、きっと面白いものになると僕自身も期待しています。それと、台本を読んで気になっているのが、舞台上でお化粧をすると書かれていたこと(笑)。きっと歌舞伎のお化粧はどうやっているのだろうと思っている方はいらっしゃると思うので、それを生で見られる可能性があるとお伝えしておきます(笑)。

-今回は、年末年始の公演なので、観客にとっても特別なものになると思いますが、それについてはどう感じていますか。

 演じる僕たちからすると、お芝居を見に来てくださることにお時間を頂いていることに、まずは感謝の思いがあります。特に今回は年末年始という日程ですので、その骨頂だと思います。なので、シンプルに楽しんでいただけるようにと、本当にそれだけです。お客さまに楽しんでいただくためには、まず自分が楽しむ。それを毎日続けていくだけです。

-今回の公演は、右近さんにとってどこに楽しみがありますか。

 いろいろな表現をできることです。歌舞伎だけでなく、歌もあって、御神楽のような動きもある。僕ができる表現の幅の中でも、かなり大きな振れ幅でさまざまな表現をさせていただけると思うので、それは僕自身楽しみです。それから、各ジャンルのプロフェッショナルな方々と関われるということ自体も楽しみです。今年は、「楽しむ」をテーマにした1年だったのですが、何ごとも楽しめることが増えてきたように思います。30歳になったのですが、やはり30歳は大きな節目の年だったのかなと思っています。