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桜井日奈子「『女優が天職』と言えるようになりたい」若い女性が人生を切り開いていく物語に重ねた自らの歩み『魔女の香水』【インタビュー】

-そうかもしれませんね。ところで、この映画には「女性の活躍を応援する」というメッセージが込められていますが、同じ女性として黒木瞳さんや宮武由衣監督から刺激を受けたことはありますか。

 黒木さんのお芝居の作り方はすごく緻密なんです。このせりふのときはここにいて、顔はこういう向きで、と一つ一つ丁寧に作り上げる様子が、本当にプロフェッショナルだなと。なかなか見る機会もないので、「学ばせていただこう」と思っていたんですけど、一朝一夕にまねできるものではなくて。「私が黒木さんのレベルに達するまで、あと何十年かかるだろう?」という感じでした。

-なるほど。

 お芝居の面では黒木さんに引き出していただいたものがたくさんあります。ご一緒するのは涙を流すなど、感情的なシーンが多かったんですけど、黒木さんのおかげで、何の心配もなく表現したいところまで持っていけた気がします。

-宮武監督はいかがでしょうか。

 映画監督の方は、どちらかというと自己主張の強い方が多いイメージだったんですけど、宮武監督は自分の考えがあっても、まずは周りの意見を聞いてくださるんです。言われたことに柔軟に対応されている感じがすてきで、付いていきたくなる監督だなと。

-現場で宮武監督に支えられた部分もありましたか。

 現場では、大人の女性に成長した恵麻を演じることに不安を抱えていた私を、何度も褒めてくださったんです。そうやって、不安を一つ一つ取り除いてくれました。以前、宮武監督とご一緒されたことがある平岡(祐太/恵麻と出会う会社社長・横山蓮役)さんが「宮武監督は、本当に良くないと褒めないんだ」とおっしゃってくださったことも自信につながりました。そういう意味では、宮武監督にはすごく支えていただきました。

-本作は女性の活躍を描いていますが、恵麻の成長物語には男性も共感できると思います。男性の観客に向けてメッセージはありますか。

 弥生さんが恵麻に語る人生の教訓の数々は、男女問わず心に響くものがあると思います。私が大好きなのは、「社会を憎んでも仕方ない。他人は変えられないけど、自分と未来は変えられる」というせりふです。仕事をしていく上で、壁にぶつかることは誰にでもありますが、そんな言葉の一つ一つが、心をふっと軽くしてくれると思います。そういう意味では、見る人の心を軽くする魔法を持った映画だと思うので、ぜひ男性にもご覧いただけたらうれしいです。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)映画「魔女の香水」製作委員会