-この映画は、アメリカとアジアの対立の構図みたいなことが描かれていて、ベトナム戦争に対する意識や影響があったのではないかという気がしたのですが。
『キングコング 髑髏島の巨神』(17)を監督した友人のジョーダン・ボート・ロバーツが、「ベトナムに滞在してみないか」と誘ってくれたんです。その時、ロボット映画を作りたいと思っていたので、例えば、お寺に行く僧侶の姿を見ながら、「あれがロボットだったらどうだろうか」などと想像力を膨らませていました。
ベトナム戦争の映画となると、自分の中で大きいのは『地獄の黙示録』(79)とか『プラトーン』(86)『フルメタル・ジャケット』(87)なんですけど、あれは対象が人間ですよね。あれがもしロボットだったらというふうに考えました。それに、今までベトナム戦争を想定したSF映画は作られていないのではないかと思いました。
ベトナム戦争の想定は、例えば、ジェームズ・キャメロンが『アバター』(09)でも使っていますが、あれは舞台が宇宙ですよね。なので、舞台が地球上でというのはまだないなと。それで「これは他の監督が絶対にやりそうだ」と気付きました。もし先を越されたら嫉妬してしまう、レースではないけれど自分が先にやらなければみたいな気持ちがありました。なので、ベトナム戦争の影響は確かにあります。
-最後に、日本の観客に向けて一言お願いします。
日本の観客には、まず「ありがとうございます」と言いたいです。なぜなら、日本のポップカルチャーと映画、そしてデザインや美的感覚、こうしたものに本当に影響を受けているからです。特にデザインに関しては、世界で最も素晴らしいものだと思います。この映画を作るに当たって、本当にたくさんのものを日本からお借りしています。そうやって作られた作品です。ただ、いろいろなものを借りてはいますが、新鮮に感じられるような形で組み合わせたつもりなので、そういうところを見ていただけるとうれしいです。自分としては、この映画はアメリカやイギリスというよりも、日本の映画のような気がしています。だから、日本で公開されることは、この映画にとっては古巣に戻るようなものです。そんな映画ですので、ぜひご覧になってください。
(取材・文・写真/田中雄二)