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門脇麦、「この舞台以上に“五感で楽しむ”という言葉が適している舞台はない」【インタビュー】

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-メイという役の魅力は?

 メイはちょっと意地悪で、ちょっとゆがんでいて、でも、かわいいみたいな感じの女の子で、アンパンマンのドキンちゃんと猫を行ったり来たりしているイメージです。意味分からない感じですけど(笑)。そういう人の心をもてあそぶような役で、演じていて楽しいです。

-再演の新キャストで、綿谷ノボルを大貫勇輔さんとWキャストで演じる首藤康之さんの印象は?

 首藤さんは、私が子どもの頃から何回も見に行っているぐらい大好きなバレエダンサーです。バレエ界的に大先輩で大スターなので、今回同じ舞台に立たせていただくのはすごく楽しみです。お芝居もされるわけですし、それを稽古場から見ることができるというのはお金を払いたいぐらいです(笑)。

-再演で再び共演する成河さんの印象は?

 成河さんも稽古場でお金を払いたいぐらい昔から大好きな方です(笑)。実は先日、成河さんから楽屋に掛けるのれんを頂いたんですよ。7年前に共演させていただいて、その時に一生この人について行こうと思いました。この人の背中を追い続けていたら役者として間違えた道には行かないだろうというくらい、本当に演劇に対してものすごい熱量と真正面から向き合うパワーを人一倍兼ね備えている方なんです。私はそれまで楽屋のれんを持っていなくて、成河さん方からのれんをいただきたいと思い、くださいとお願いしたんです。その時は深く考えずに言っちゃったんですけど、6年越しにのれんを頂きました。今回がそののれんを初めてかける公演で、しかも成河さんと共演ということで本当にうれしい限りです。

-メイは主に渡辺さんが演じるトオルとの共演シーンが多いですが、渡辺さんの印象は?

 渡辺くんはもともとバンドをやっていらっしゃったので、歌い方がいい意味で、ミュージカルや音楽劇における教科書的な歌い方ではないんです。成河さんと二人一役で、2人とも方向性が全く違うから、それがすごく面白くて、本作のアクセントだと思います。しかも、今回はもっと2人の境界線が分からないような演出になると思うんです。前回は、潜在意識と現実世界のトオルという二人一役だったんですけど、その境界線がもっと不明瞭になっていって、お二人と絡むことがちょっと増えそうなので、それも楽しみです。

-この作品には<演じる・歌う・踊る>というキャッチコピーがありますが、門脇さんは、今後、音楽劇やミュージカルに出演したいという気持ちはありますか。

 私は子どもの頃にバレエをやっていたので、バレエで踊ったり、バレエのダンサーとしてミュージカルに出たりしていました。だから、そちらのほうが自然で、違和感はないです。ただ、今は体が動かないというのはあるかもしれませんけど(笑)。ミュージカルはすごく好きで、短期留学をしていたときに、ブロードウェイでミュージカルをたくさん見ていました。だから、いつかはミュージカルに出演したいと思っています。特にミュージカル『メリー・ポピンズ』に出たいです(笑)。

-最後に舞台を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。

 この舞台以上に“五感で楽しむ”という言葉が適している舞台はないと思います。原作小説を読んでいないと何の話かさっぱり分からないのではと思う方もいらっしゃるかもしれないんですけど、そこを超えて音楽とダンサーの身体表現で村上さんの「ねじまき鳥クロニクル」のエッセンスを感じられると思うんです。日本語を抜きにした、でも日本語の集合体みたいなものとどう向き合うのか。向き合った結果、何が残ったのか。今回は前回よりもそぎ落とされて、もっとエッセンスがシャープになった舞台になると思うので、それを楽しんでほしいです。

(取材・文・写真/櫻井宏充)

舞台「ねじまき鳥クロニクル」

 舞台「ねじまき鳥クロニクル」は、2023年11月7日から11月26日に、都内・東京芸術劇場プレイハウスほか、大阪、愛知で上演。