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「何か人の心を動かせるきっかけになったらいいなと祈っております」 小芝風花『レディ加賀』【インタビュー】

-この映画には女将(おかみ)さんや、旅館業のハウツー的なところもありますが、演じながら何か感じたことはありますか。

 すごく大変な仕事ですよね。いろんなお客さんがいて、いろんなトラブルがあって、それに臨機応変に対応していくという。相当の余裕と器の大きさがないとできることではないので、女将さんになるためには、いろんな厳しい試練がいくつもあるということを、改めて感じました。

-一緒にタップを踊る松田るかさんをはじめ、仲間の人たちとの共演はいかがでしたか。

 滞在していた宿に、温泉付きの露天風呂や大浴場があったので、毎日みんなで一緒に入って、合宿みたいでした。その時間があったから、共演の女の子たちとは、すごく団結したというか、距離が縮まって、毎日話し合ったり、励まし合っていました。

-今回は、フジテレビ系で放送中の「大奥」の話も伺いますが、この映画もそうですけど、着物の着付けや作法という部分では通じるところもあると思いますが、いかがでしょうか。

 とても大変です。『レディ加賀』でも着物を着ていますが、現代劇なので、動きや所作的な部分で、これが駄目ということはあまりありません。「大奥」のような時代劇の場合は、ルールや常識が今とは全く違うので、例えば「ここは感情を出したいけれど、これは所作的にはありなのか」というところから始まります。いろいろな制限がある中で、どう見せるかというのが大事になるし、感情的には良くても所作的に駄目だったら、「もう1回」ということもあるので、かなり大変です。

-「大奥」で演じるのは、五十宮倫子(いそのみや・ともこ)という実在の人物ですね。将軍・徳川家治役の亀梨和也さんとの共演はいかがですか。

 9年ぐらい前に1度ご一緒させていただいたことがありました。その時は少ししかお会いできなかったのに、覚えていてくださっていて、「大人になったね」みたいな感じで、気さくに話し掛けてくださいました。とても優しい方です。そのおかげで、緊張することもなく、ちゃんと役について話し合えました。「どういうふうにした方がやりやすい?」と聞いてくださったりもします。すごく話しやすい方です。

-「大奥」は、これまで何回も映画やドラマになりましたが、今回のドラマの印象はいかがですか。

 今回も、従来通りのどろどろとした戦いみたいなところはありますが、どの役にも切なさがあるんです。今回は、愛というのがテーマになっていて、回が進むに連れて、いろんな人の思いや、その人が歩んできた人生など、いろんなことが明らかになっていきます。男女の愛だけではなく、親子の愛など、いろんな形の愛も描いていますので、今までの「大奥」とは違って、切ないところが多くなっていると思います。

-『レディ加賀』に戻りますが、この映画には、応援や勇気づけ、チームプレーや再生というテーマがあると思います。これから映画を見る観客に向けて、一言お願いします。

 石川でオールロケをしているので、少しでも力になれたらというのと、この作品を見て、石川の皆さまの力になりたいと思ってくださる方がいたらいいなと思います。何か人の心を動かせるきっかけになったらいいなと祈っております。

-もともと楽しい映画ですからね。

 そうですね。だから、今は気持ちが晴れることが難しいというか、つらかったり、しんどい思いをされている方の、一瞬でも息抜きになったらいいなと思います。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)映画「レディ加賀」製作委員会