石川県の加賀温泉を盛り上げるために結成された旅館の女将たちによるプロモーションチーム「レディー・カガ」から着想を得て、タップダンスで温泉街を盛り上げる女将たちの姿を描いた『レディ加賀』が、2月9日から全国公開される。本作で、タップダンサーを目指して上京したものの夢破れ、実家の旅館に戻って女将修行に励む主人公の由香を演じた小芝風花に話を聞いた。
-まず、先日この映画の舞台となった石川県を中心とした大きな地震がありました。映画の中でも「加賀温泉は3度の危機を乗り越えた」というせりふがありましたが、今度の震災で、別な意味を持つ映画になったと思いますが、いかがでしょうか。
撮影をしている当時は、まさかこんなに大きな地震が石川県で起きるとは思ってなかったので…。でも撮影時に、地元を盛り上げたいという思いから、「レディー・カガ」という活動をされている方たちの強さを感じましたし、どんな状況でも折れずに戦う女将さんの姿も見てきたので、強さを持った県民性だと感じました。今回はオール石川ロケで、景色も地元の人たちの人柄もすごくすてきな場所だったので、1日も早く元の石川に戻ってほしいと祈るばかりです。過去にいろいろな危機を乗り越えたように、今回も何とか頑張っていただきたいと思いますし、この作品が少しでも力になれたらと思います。石川県以外の方にも見ていただいて、何かできることを考えられるような作品になったらいいなと思います。
-では映画の話に移りますが、最初に脚本を読んだ印象は?
すごく強さを感じたのと、加賀友禅を着ながらタップを踏むという、和と洋との組み合わせがとてもすてきだなと思いました。
-実際に演じてみて、難しかった点や、気を付けた点はありますか。もちろんタップが一番大変だったと思いますが…。
私の役は、タップダンサーを目指して上京した役で、踊れることが必須だったので、撮影の9カ月ぐらい前から必死にタップの練習をしました。衣装の着物は、着物クラブの皆さんが、ボランティアで加賀友禅を貸してくださって、着付けもしてくださいました。打ち合わせの段階で、着物でタップが踊りやすいようにと、すごく工夫もしてくださいました。普通は、着物を着たら優雅でおしとやかに歩きたいところですけど、今回はすごく激しいタップを踊るので、着物を着て踊ることに罪悪感がありつつも、着物の新たな可能性を感じたりもしました。
-タップダンスの場面は、スタンドインなしで全て小芝さんが踊ったのでしょうか。
足元だけはプロの方にではなく、全部自分で踊っています。ほかの皆さんも自分で踊っています。タップに挑戦するのは初めてだったので、めちゃくちゃ練習をしました。他の作品が入るとレッスンに行けなかったりしたので、レッスンで習ったことは次のレッスンまでには絶対にクリアするということを自分の課題にして、毎日家で練習をしていました。
-以前、「妖怪シェアハウス」の時に、「コメディエンヌと言われるのは、すごくうれしい」と聞きました。今回もちょっとコミカルな要素がありましたが、演じる上で気を付けたことはありましたか。
私は、割と振り回される役が多いので、相手のお芝居をちゃんと受け取れるようにしています。「お芝居はキャッチボールだ」と先輩方に教えてもらってきたので、それを強く意識しています。今回は、(森崎)ウィンくんの役がかなり癖のある役だったので、ちょっと引いているというか、私の役的には、コメディーということはあまり意識しませんでした。夢に破れてふらふらしている、どこにでもいるような女の子を演じるという感じでした。
-今回はオール石川ロケだったそうですが、最近、地方を舞台にした映画が増えてきたと思います。ロケも含めて、こうした映画についてどう思いますか。
舞台になる県が限られていると、映画の中でその県のいろんな場所に行きますよね。すると「こんなすてきな景色のところがあるんだ」と知って、そこに行きたくなるじゃないですか。今回もすごくアーティスティックな橋が出てきたりして、映画を見て、「ちょっと行ってみたいかも」と思えるのも、地方作品のいいところだと思います。それで観光客が増えて栄えたら、いいこと尽くしだなと。