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山崎育三郎&明日海りお&古川雄大「日本人の僕たちが作る作品を海外に持っていきたい」 ミュージカル「昭和元禄落語心中」【インタビュー】

-この三人での共演は初めてになります。お稽古をしていて、お互いにこれまで知らなかった新しい一面を知ったということはありましたか。

明日海 たくさんあります。育さまは怠けるときはないんですか?

山崎 え? どういうこと(笑)?

明日海 休憩時間であっても、ずっとお稽古をしているじゃないですか。そういう姿勢がすばらしいと思います。それに誰よりもスタートダッシュがすごい。それものめり込むのではなく、良い雰囲気でいつも周りを見て進めてくださっています。

山崎 何もしてないですよ!

明日海 やってます(笑)! 私は焦ってばかりですが、育さまはやってます!

山崎 やってないです、やってないです(笑)。

古川 なんですか、そのやっていないキャラ作り(笑)。

山崎 僕の理想は、ファッときてファッとやる。それがかっこいいんですよ。木梨憲武さんや所ジョージさんのような。なので、ストイックと言われるのは恥ずかしいんです。「あの人、いつも楽しそうに、ふわふわってやっているね」と言われるのが理想です(笑)。

古川 でも、僕はそんなイメージですよ。

山崎 僕は入り込めないとできないんですよ。余計なことを考えてしまうから。舞台の上では楽しくいられるところまで努力しなくてはいけないなと思います。

明日海 古川さんは全てにおいてスピードが早いですよね。

山崎 うん、覚えるのが早い。

古川 何もしてないですけどね。

全員 あははは。

明日海 お二人が様子見をせずに、最初からガーッと前のめりで進んでいかれるので、私はそこについていくのに必死です。

山崎 いやいや、なんでこんなにも謙虚に話すんだろうというくらい(明日海も)すてきです。華やかさがあって。それに、二人はギャップがあるのがうらやましいですね。普段はすごく繊細で柔らかくて、謙虚ですが、舞台に出たらその存在感がバンと出る。そのギャップは二人とも同じで、稽古をしていて、どこか似ているところがあるとは感じました。黙々と自分の中で自分と戦いながら稽古をして、いざ舞台に上がったときには覚悟を持って立っている。その姿がかっこいいですね。

-古川さんから見たお二人はいかがですか。

古川 いっくん(山崎)は今回、企画から参加しているということもあり、より深くこの作品や役についてお話をされているイメージです。特に今回は背負っているものが大きい。これまでの共演では、雑談をすることも多かったですが、今回は役についてたくさん会話をしているように思います。

 明日海さんは、出番の関係で稽古がない日もあったのですが、そうした日も稽古場に来て、自分の作業をされているストイックな方です。それに、こんなにも温厚な人は見たことがないというくらい温厚です。どんなことも全部受け入れてくださるので、すごく安心します。

山崎 そうだよね、すごく周りを見ていて、全てを受け止めてくれる方ですよね。

-最後に読者に向けたメッセージをお願いします。

山崎 1998年、僕は小椋佳さんの作品でミュージカルデビューしました。その作品は、「日本のオリジナルミュージカルを作りたい」というテーマを持っていて、それが僕の原点になっているのだと思います。「いつかオリジナルミュージカルを作りたい。日本人の僕たちが作る作品を海外に持っていきたい」。そんな夢を持っていましたが、今回、その夢の第一歩を踏み出したように思います。ミュージカル界に新しい風が吹く作品になっています。ぜひ劇場で体感していただけますとうれしいです。

明日海 原作ファンの方にも落語ファンの方にもミュージカルを初めて見に来られるという方にも楽しんでいただける作品になっていると思います。お二人とご一緒させていただける機会にも感謝して、繊細な役どころを丁寧に描き出していきたいと思います。

古川 この作品はにじみ出る面白さがあると思います。原作のパワーがすごいというのはもちろんありますが、小池修一郎先生の脚本・演出、小澤時史さんの音楽、そしてお二人が歌うというさまざまな魅力が詰まっている作品です。日本ならではの作品になると思いますので、ここから世界に向けての初演をぜひ観劇していただきたいと思います。この機会を逃さないでください。

(取材・文・写真:嶋田真己)

 

 ミュージカル「昭和元禄落語心中」は、2月28日~3月22日に都内・東急シアターオーブ、3月29日~4月7日に大阪・フェスティバルホール、4月14日~23日に福岡市民ホール・大ホールで上演。

 

ミュージカル「昭和元禄落語心中」