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中小企業のサイバーリスクなどにも幅広く対応 共栄火災が企業総合賠償責任保険「商売の達人」をリニューアル

 共栄火災海上保険(東京)は、中小企業の損害賠償リスクをまとめて補償する同社の企業総合賠償責任保険「商売の達人」について、10月1日(日)以降保険始期の契約から内容のリニューアルを実施する。2006年の同商品発売から17年が経過。社会情勢の変化や多発する自然災害などの影響から、事業活動を取り巻くリスクがますます多様化・複雑化する中、見直しを行った。

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 自然災害・売り上げ減少・感染症・国際情勢・サイバーリスク――。企業を取り巻くさまざまなリスクがある。日本損害保険協会(東京)が2022年9月に中小企業の経営者と従業員を対象に行った「中小企業におけるリスク意識・対策実態調査2022」(サンプル数1031)によると、中小企業の約9割が、事業活動を行っていく上で、何らかのリスクがあることを認識。また、実際に被害に遭った中小企業がリスク対策として挙げたのが、「損害保険の加入」(47.7%)で最も多かった。また、損害保険の加入割合をリスク別に見ると、「勤務中や移動中における損害賠償」(62.8%)、「製造物に関する損害賠償」(61.1%)、「自然災害」(56.4%)に対する加入割合が高く、損害賠償リスクに対しては、賠償責任保険などの損害保険により備える傾向が強かった。事業活動における損害賠償リスクとして「とても深刻である/やや深刻である」と考えられているリスクは、「サイバーリスク」(58.9%)、「情報の漏えい」(59.8%)、「製造物に関する損害賠償」(43.9%)の割合が高かった。

 中小企業において、サイバーリスクや雇用面など損害賠償リスクに備える保険への関心が高まる中、より多くの事業者に安心を届けることを目的に、今回の「商売の達人」リニューアルに至った。

 まずは、「対象業種の拡大」。「道路貨物運送業」「不動産賃貸業」など、これまで「商売の達人」で対象外としていた⼀部のサービス業について、契約できるようになる。

 次に、「総支払限度額の拡充」。保険期間中に支払われる保険金の限度額について、これまでは1億円・3億円・5億円の3パターンから選ぶ形だったが、契約企業の事業規模に応じ、1億円~10億円の1億円単位で契約できるようになる。

 サイバーリスクや雇用に関するリスクなどの新たなリスクを補償する特約も新設。「サイバーリスク補償」「休業補償」「使用者賠償責任補償」「雇用慣行賠償責任補償」「リコール」「工事対象物補償」など、さまざまなリスクに対する特約をまとめて契約することができる。

 事業活動を取り巻くリスクに対してきめ細かく補償できるよう、既存特約の補償内容も拡大する。例えば、「生産物自体の損害および回収費用補償追加特約」については、身体障害を与えたケースに加え、他人の財物を損壊したケースも補償。「初期対応費用補償特約」については、現在の見舞費用補償特約と事故対応費用補償特約を統合し、より補償範囲の広い特約として新設。「人格権侵害補償特約」については、人格権侵害に加え、生産物による宣伝侵害にも補償を拡大。「企業イメージ回復費用補償特約」については、身体障害を与えたケースに加え、他人の財物を損壊したケースにも補償を広げる。

 「賃借施設失火賠償責任補償特約」については、広く「偶然な事故」により賃借施設が損壊したケースを補償する内容に拡大し、あわせて賃借施設の修理費用も補償できるように。そのほか、食品製造業や製造業の企業が、販売業者を追加被保険者として設定できるようになる「追加被保険者・交差責任補償特約」など、事業内容に応じてより細かくカスタマイズできるようになる。

 「保険料割引制度の拡充」も実施。ISOの認証に加えて、HACCP、GLOBAL GAP、生協GAPの認証を受けている事業者への割引を新設。

 「契約者向けサービスの拡充」として、「事業者相談サービス」では、以前から提供している健康・介護・税務・法律に関する無料相談サービスに加え、労務相談や専門医相談を無料で利用できるようになる。また、サイバーリスク補償特約やリコール特約の契約者については、実際に事故が起きてしまった場合の対応や、リスク対策のための体制整備に活用できる「サポート企業の紹介サービス」を用意している。

図2