カルチャー

「みんなで地方のベーカリーを考えていきたい」 堀江貴文氏主宰 “こむぎの”が高知県の老舗パン企業と提携

(左から)菱田ベーカリー代表取締役社長の菱田仁氏、堀江貴文氏、株式会社こむぎの代表取締役の笹山直人氏

 実業家の堀江貴文氏が主宰するオンラインサロンから生まれたベーカリーチェーン運営企業「こむぎの」が、高知県宿毛市の「菱田ベーカリー」と資本業務提携を締結した。そのお披露目会見が2月15日、仲介した日本M&Aセンターの本社で開催された。

 菱田ベーカリーの代表作は、こしあんの丸いあんパンの上にようかんをコーティングした「羊羹(ようかん)ぱん」。昭和40年代からのロングセラーで、「県外への販路拡大などに10数年前から取り組んできたが、その当時から人材が地元におらず、ずっと課題を抱えてきた」(菱田仁社長)。そこで今回のこむぎのとの提携に至ったという。

 こむぎのは、堀江氏が運営するオンラインサロン「堀江貴文イノベーション大学校」(HIU)から生まれた企業で、フランチャイズチェーン「小麦の奴隷」を運営する。小麦の奴隷は工場で製造された冷凍の生地を使用し、店舗では発酵やオーブンで焼くといった作業に集中させることで、店舗の負荷を軽減する仕組みをとる。北海道大樹町での1号店出店以降、店舗網を拡大しており、堀江氏は「羊羹ぱんは全店舗で扱う。プチブームになれば」と期待を寄せた。

 一方で堀江氏は「地方の人材不足は深刻で、働き手がいない。そんな場所でパンを作るのは難しい作業になりつつある」と地方の課題を指摘。「パン作りは材料を混ぜて、生地をこねて、発酵させて、成形して、オーブンで焼くという大変な作業。このままではパン店がなくなり、焼きたてのパンが地方では食べられない時代がくる」とし、地方の焼きたてパンのニーズを吸収して社会課題を解決したいと述べた。

 両社は今後、こむぎのが持つ販路やマーケティング戦略のもと、羊羹ぱんの販売エリア拡大を図り、ブランド力をさらに強化したいという。堀江氏は「みんなで一緒に地方のベーカリービジネスを考えていきたい。今後も積極的に事業提携していきたい」と語った。