「ミキハウス」ブランドの子ども服を展開する三起商行(大阪府八尾市)は、能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市にある老舗の漆器店とタイアップし、輪島塗の「お食い初め(おくいぞめ)」食器を商品化した。海外でも人気がある最高級ラインの新商品として、来春からの販売開始を目指す。
マグニチュード7.6の震災により、輪島市では多くの漆器職人が被災し、生産活動も中断した。三起商行は、「日本を代表する伝統技術・文化を守る(ミキハウスならではの)取り組みで支援したい」(中島健治郎相談役)との考えから、創業200年余りの歴史がある現地の田谷漆器店と提携。できあがった食器が、9月初旬に八尾市の本社で行われた商品発表会でお披露目された。
輪島塗のお食い初め食器は、一般商品の2~3倍の価格設定の高級ライン「ゴールドレーベル」で展開する。ブランドカラーにちなんだ、天然の白漆と金の蒔絵(まきえ)を施したもののほか、赤と黒、青と黒の着色の3種があり、受注生産で対応する。下地の粉に珪藻土の粉を混ぜる輪島塗は保温性が高いにも関わらず、外側は熱くなりにくい特徴がある。口触りもよく、子どもが使いやすいという。
輪島塗のお食い初め食器は、最も高い白漆・金蒔絵のもので200万円を超える見通し。三起商行MD本部商品MD部の高橋丞二ブランド担当マネジャーは「家紋や名前を入れてもらうこともでき、長く家族の宝物になってほしい。ブランドを象徴するひと品に育てたい」と話す。今後、国内外のゴールドレーベル取扱店やポップアップストアで順次、サンプルを展示していく予定だ。
田谷漆器店は、色出しの技術が高いことで知られ、青のぼかし塗りを施したコーヒーカップが、岸田文雄首相が今年4月に米のバイデン首相を訪問した際の贈答品にも採用された。
2022年に発売したミキハウスのゴールドレーベルは、希少性の高い海島綿やカシミヤシルクなどを使い、高い技術を持つ日本の工場でつくった製品をそろえる。単価100万円を超える商品もあるが、海外を中心に強い引き合いがあり、今年の売上高は昨年比で1.5倍に達しているという。