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重視したのは給与、勤務地、ワークライフバランス 第一三共ヘルスケアが新社会人の就職意識調査

ワークライフバランスが崩れると「グラグラワーク」の恐れも

 この春に新社会人になる学生・生徒が就職先選びで重視したのは①給与②勤務地③ワークライフバランス(仕事と私生活の調和)④仕事内容・やりがい-の順だったという調査結果を、第一三共ヘルスケア(東京都中央区)が公表した。社会人生活の不安はワークライフバランスが保てるかどうかがトップで、2位が仕事内容。第一三共ヘルスケアは「生活を大切にしながらも、仕事にも充実感を求める〝二刀流〟の傾向が見て取れた」と分析している。

 ▼理想の働き方は「コツコツ」「さくさく」

 調査は、2025年4月に就職予定の新社会人の学生・生徒(大学院生、大学生、短大生、専門学校生、高校生)計100人と、20~60代の働くビジネスパーソン計1000人を対象に、2月に実施した。

 仕事観に関する質問で、新社会人が就職先を選ぶ際に重視したのは①給与52%②勤務地47%③ワークライフバランス45%④仕事内容・やりがい43%⑤働き方や福利厚生41%- の順だった(複数回答)。

一方、社会人生活で不安に感じることは①ワークライフバランス(保てるかどうか、プライベートな時間が減ることなど)56%②仕事内容(仕事をきちんとこなせるか、期待通りの成果が出せるかなど)47%、職場の人間関係(上司や先輩とうまくやっていけるか、環境になじめるかなど)47%④自分の健康管理37%⑤タイムマネジメント31%(複数回答)。ここでもワークライフバランスが仕事内容を上回った。

新社会人が就職先を選ぶ際に重視した点(左)と、社会人生活で不安に感じること

 

 この結果について、第一三共ヘルスケアは「新社会人はワークライフバランスを重視しているが、同時に仕事を通して成長できるか、チャレンジできるかといった、仕事へのやりがいも重視する傾向も見られる」とコメントしている。

 理想の働き方を六つの言葉の中から一つ選んでもらう質問では、コツコツ40%、さくさく21%、そこそこ17%、ばりばり10%、ゆるゆる7%、がつがつ5%。堅実または効率良く働きたいと思う人が多いようだ。

▼セルフケア費用は1カ月3126円

 調査では、自分自身で健康を守り対処するセルフケアについても尋ねた。新社会人の81%がセルフケアを「知っている・聞いたことがある」、53%が「(実践が)できている」と答えた。ビジネスパーソンに比べ認知率は3.5ポイント、実践率は6.1ポイント高かった。

また、新社会人がセルフケアにかけている費用は1カ月平均3126円(ビジネスパーソンは同4428円)。社会人になったら「今以上にセルフケアに取り組みたい」とした新社会人は79%に達した。

セルフケアの認知率(左)、実践率と1カ月の平均費用

 

 セルフケアを意識して行っていることとして、新社会人が挙げたトップ5は①十分な睡眠を取る②野菜を多く摂取する③1日3食きちんと食べる④朝食をきちんと食べる⑤栄養バランスの良い食事を取る。ビジネスパーソンもほぼ同様の傾向だった。

 また、ビジネスパーソンを対象に現状を尋ねたところ、ワークライフバランスが取れた生活ができているという人は60%で、新入社員にとっては残念な現実を突きつけられた格好だ。セルフケアを実践している人のうち、ワークライフバランスが取れていると答えたのは78%だったのに対し、実践していない人では44%止まり。セルフケアがワークライフバランスに役立っている可能性が示唆された。

 ▼グラグラワーク予防に「さ・し・す・せ・そ」

鄭理香医師

 

 調査結果について、第一三共ヘルスケア産業医で日本精神神経学会専門医の鄭理香(チョン・リヒャン)さんは「仕事と生活のバランスは人によって違うが、両者を充実させ調和を取ると、相乗効果が期待できる。このため、バランスを保った生活を循環・維持させる『ワークライフサイクル』が求められている。しかし、慣れない環境の中では、心身ともにグラグラと不安定な『グラグラワーク現象』に陥りやすい」と指摘。就職、異動シーズンに向け、特に心がけたいこととしてセルフケアを挙げ「『さわやかな朝日を』『趣味を大切に』『睡眠は十分に』『セルフモニターを』『相談上手に』の『さ・し・す・せ・そ』がお薦め」とした上で「先輩社員はまず、新社会人が話しやすい雰囲気をつくること。生き生きと働きやすいウェルビーイング企業になるためには、上司も部下も一人一人がセルフケアを意識して実践できる環境作りが大切」と注意喚起している。

鄭理香医師が提唱するセルフケアの「さ・し・す・せ・そ」