
オンライン教育サービス「オンラインのメガスタ」(バンザン・東京)がこのほど、経営再建に取り組むとともに教師不足に悩む和歌山県日高川町の和歌山南陵高校(学校法人南陵学園・静岡県菊川市)と提携。地方と都市の教育格差の是正を目指して、同校に「“AI評価付き”オンライン授業」が導入されることになった。
バンザンによると、現在、地方の学校では慢性的な教師不足に直面している。業務過多による長時間労働の常態化や、多様化する大学受験に対応するための負担増が全国的に課題となり、地方では若年層の人口流出や少子化も影響して、教師志望者の減少が深刻化しているという。和歌山南陵高も、教師不足や地域の教育資源の限界に直面し、近年は学校存続そのものが危ぶまれる状況となっていた。
バンザンは、全国に約4万人の教師を抱え、「オンラインのメガスタ」で高品質な授業を提供している。今回、和歌山南陵高にAI評価付きのオンライン授業が導入されることで、メガスタのトップ教師の生の授業が、和歌山南陵高校で受けられるようになる。
対面授業より劣るイメージを持たれることの多いオンライン授業だが、映像授業でなく生授業を行うため、双方向型でその時々の状況に応じた授業ができる点と、教師の説明力や生徒の反応をAIが分析・評価する点により、授業の質を可視化・改善支援ができることが特徴。和歌山南陵高校では、今年9月から一部教科でメガスタのオンライン授業の導入を開始し、生徒数が増加する来年度から本格的に展開していく予定という。
2024年に理事長に就任した同校の甲斐三樹彦理事長は、就任当初の状況を、「帳簿も見せてもらえず、施設の修繕も放置されたまま。最初に見たときは本当に驚いた」と振り返る。課題と感じたのは設備だけではなく、教師の意識や深刻な教師不足だったという。「プロの力を取り入れ、教育の質を底上げしたい」との思いから、今回、「オンラインのメガスタ」の導入を決断。「導入することで、都市部と地方の教育格差の是正に大いに期待できる。AIによって教育の質を可視化できる点も大きなメリット」としている。また、「オンラインで授業が成り立つなら、教師も質を上げないといけない。教師の意識向上にもつながり、相乗効果で全体の質が上がるだろう」と期待。「子どもたちの未来のために、情報量を持った外部とタイアップして教育改革を進めるべき」としている。